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IT部門とビジネス部門が信頼関係を築けている企業は35%、ガートナージャパンの調査

DIGITAL X 編集部
2022年5月24日

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進では、IT部門とビジネス部門連携が重要だとされるなか、両部門が信頼関係を築けているとする企業は35%という調査結果をガートナージャパンが2022年3月14日に発表した。そこから2026年までには半数超の企業でIT部門とビジネス部門が良好に連携すると予測する。

 ガートナージャパンが実施したのは、「日本のIT部門とビジネス部門の協業体制」に関する調査。IT部門の管理者層を対象に2016年から実施しているもので2021年4月の調査が5回目になる。今回の回答数は515件だった。

 調査結果によれば「IT部門とビジネス部門は密に協業できる」とする回答が約35%だった(図1)。2020年までは「IT部門とビジネス部門間の信頼関係は薄い/ない」とする割合が常に上回っており、今回初めて逆転した。

図1:日本のIT部門とビジネス部門の協業体制の経年変化

 しかしガートナーは「2025年まで、日本で『デジタル化』と呼ばれる取り組みの7割以上は、従来のIT化/情報化とほとんど変わらないままとなる」と予測する。

 その理由は、日本国内では、デジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が氾濫し、何でもが「デジタル化」と捉えられ、かつてのIT化/情報化と混同されているケースも多くみられるためである。

 アナリストでバイスプレジデントの鈴木 雅喜 氏は、日本企業のデジタル化について、こう指摘する。

 「『デジタル化』への取り組みには、かつてない強い追い風が吹いているが、特に日本では『デジタル化』の意味が拡張・希薄化し、進め方が全く異なるIT化/情報化への方向性と、ビジネス変革の方向性を明確に区別して取り組む必要がある。経営層がデジタル化を戦略に位置付けても、取り組みやすい従来のIT化や情報化の領域にとどまり、本質的なビジネス変革を目指す動きが停滞することが考えられる。ビジネス革新に向けたテクノロジーの選択や導入などデジタル企画力の向上を目指さないIT部門は、2025年までの間、自社のイノベーションに向けた活動に参画できないだろう」

 一方で、2021年の調査結果が示したような部門間連携の改善トレンドが今後も継続するならば、「2026年までに半数を超える日本の大企業のIT部門がビジネス部門と良好な連携を実現するだろう」とも予測する。

 そこでのIT部門の人材には、これまで以上に人と関わる能力が求められるとする。さらに人が素早く情報を集め処理する能力やテクノロジーでビジネス変革を進めていくには、「自ら考え、議論し、試し、修正し、成功への道を切り開ける人材を育成していくことが重要になる」とする。

 鈴木氏は、「ビジネス部門との連携や協業は、IT部門がビジネス上の成果を獲得する上で越えなければならないハードルの1つとも言える。テクノロジに関わるリーダーは、『デジタル化』に混乱が生じていることを理解し、その取り組みの意味するところをビジネス部門や経営層に正しく説明しながら、テクノロジーを活用した自社のビジネス変革を推進すべきだ」と提言している。