• News
  • 共通

複数業務を自律的に実行する「AI社員」の実行・管理環境、米SeviceNowが強化

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年5月1日

複数業務に対応するAIエージェントの実行・管理環境を米ServiceNowが強化している。役割を持って自律的に動作するAIエージェントを同社は「AI社員」と呼び、企業の労働力や専門人材の不足に対応できるとする。2026年4月22日に記者説明会を開き、その概要を説明した。

 「AI(人工知能)は、人の作業の一部を手伝うツールから、1つの役割をエンドツーエンドで担うAIエージェント、つまり『AI社員』へと進化している。少子高齢化により労働力人口が減少する日本においてAI社員は、企業競争力を高めるための強力な武器になる」--。米ServiceNow日本法人の社長執行役員である鈴木 正敏 氏は、同社が「AI社員」と呼ぶAIエージェントを、こう説明する(写真1)。

写真1:米SeviceNow日本法人社長執行役員の鈴木 正敏 氏

複数のAIエージェントを単一インターフェースで束ねる

 ServiceNowがAI社員と呼ぶのは、同社の自律型AIエージェントの「Autonomous Workforce」のこと(図1)。2026年2月から提供を始め、第1弾として「L1サービスデスクスペシャリスト」を用意した。対応可能な業務や役割は順次追加する計画だ。

図1:米SeviceNowは「Autonomous Workforce」をレベル3のAIエージェントに位置付ける

 L1サービスデスクスペシャリストは、社内でのシステムに関する問い合わせに対し、課題の解決や上位部門へのエスカレーションなどを自動で実行する。そのために、対応可能な施策や関連情報などを収集・分析し、障害の診断や問題の切り分けを実行する。例えば、ソフトウェアの利用申請を受け付けると、業務上必要なライセンスかどうかの確認や権限付与、アカウントロック解除などを実行するという。

 Autonomous Workforceでは、人が持つ暗黙知に相当する文脈を補うための「Context Engine」を利用する(図2)。資料や情報を関連性に基づいて紐づけたグラフデータベースを構築し、業務を実行するための判断に必要な文脈を提供する。

図2:「Context Engine」が構築するグラフデータベースのイメージ

 複数のAI社員と従業員のインターフェースになるのが「ServiceNow EmployeeWorks」だ。従業員がEmployeeWorksに自然言語でリクエストすれば、関係する複数のAI社員が動作し、その処理結果をまとめて単一のUI(User Interface)で回答する。従業員は基本的にEmployeeWorksだけを意識すれば良い。

社内のAIツールやIoT機器などを一元管理

 AI社員を含む社内での各種AIツールの利用状況を管理するためのダッシュボード「AI Control Tower」も用意する。AIツールが持つ権限や考えられるリスク、業務上のパフォーマンス、ROI(Return on Investment:投資対効果)を可視化し、セキュリティリスク対策や意思決定のための情報を提供する(図3)。

図3:AI Control Towerが監視・保護する領域

 AI Control Towerには、2026年3月に買収した米Veza(ヴェザ)と、2026年4月に買収した米Armis(アーミス)の技術を組み込んでいる。Vezaの技術で従業員やAIツールが持つアクセス権を可視化し、Armisの技術でIoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器や医療機器、フィジカルAI機器など社内にある各種機器をリアルタイムで追跡・保護する。今後、IoT機器などにアクセスするAIエージェントが登場するとみているためだ。

 なおServiceNowはAIエージェント関連機能の発表に併せて、料金モデルを変更した。利用者数に応じた定額契約とAIエージェントの利用量に応じた従量課金を組み合わせる。従来の料金モデルでAIエージェントを利用者として数えると利用料が高額になるからだ。安価な順に「Foundation」「Advanced」「Prime」の3種を用意し、それぞれで使用できるAIエージェントの機能が変わる(図4)。Autonomous Workforceの全機能を利用する場合はPrime契約が必要になる。

図4:ServiceNowのAIエージェント利用を加味した新しい料金モデル