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NECネッツエスアイ、IoTデバイスのサービス拠点でAR(拡張現実)によるピッキングを実証中

DIGITAL X 編集部
2017年11月15日

NECネッツエスアイは、埼玉県にあるIoT/モバイルデバイスを対象にしたサービス拠点において、部品のピッキング作業においてAR(Augmented Reality:拡張現実)技術の利用効果を実証している。スマートグラスにピッキングすべき部品の位置を示すことで、作業効率を高める。システムを開発したNECが2017年11月7日に発表した。

 実証実験の場所は、NECネッツエスアイが埼玉県児玉郡に2016年12月に開設した「sDOC(Service Delivery Operation Center)埼玉センター」。IoTデバイスやモバイル端末を対象に、調達・保管からキッティング、修理までのサービスを提供するための拠点である。実証では、修理依頼を受け付けたデバイスを一時保管している棚から、間違いなく目的のデバイスを取り出す際に、スマートグラスにAR(Augmented Reality:拡張現実)画像を表示して支援している。従来比で作業時間を18.2%削減できているとしている。

 利用しているのは、NEC製のピッキング支援システム「ARmKeypad(アームキーパッド)」である。新たにAR画像をスマートグラスに表示する機能が追加された。従来は、スマートウォッチに画像を表示し、適切な選択肢をタッチすることで作業の進捗を管理していた。

 新機能では、選択画面をスマートグラスに映し、スマートウォッチを振ることで選択肢を指定できるようにした(図1)。選択肢を指定したら、スマートウォッチを装着した腕に触れることで情報を送信する。これにより、作業者は目線を作業対象から外すことなく、進捗を伝えられる。

図1:スマートウォッチを装着した腕を振る事で操作可能にし、作業者が作業対象から目を離さずに作業を続けられるようにした

 小さな部品などを多数の箱から、目的のものを正しく取り出すピッキングは、神経を使う作業である。目的の品がある場所を探すだけでも時間がかかるほか、間違いが発生する原因にもなる。スマートグラスとARを使うことでNECは、視線移動による取り間違いを減らせ、作業スピードの向上が期待できるとする。

 NECは同機能を、病院の薬剤部でも実証実験を実施している。薬剤が入った引き出しが大量に並んだ棚から、間違いなく目的の薬剤を取り出せるようにする。薬剤師は、処方箋に印刷してあるバーコードをスマートグラスが備えるカメラで撮影すると、取り出すべき薬剤の位置がARで表示される(図2)。その表示に従って薬剤を取り出し腕を振れば、目的の薬剤を取り出せたことを通知できる。

図2:病院の薬剤部での実証実験の様子

 この実証では、薬剤の取り出しミスをゼロ件にできているという。従来は1日に約300件の薬剤取り出し業務において約5件のミスが発生していた。

 NECは今後、ARmKeypadを製造業や物流業のほか、警備など両手を使いたい作業が発生する業種・業務に提案したい考えである。