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竹中工務店、建物の杭打ち工事に地層の3Dモデルを使い設計・施工を効率化

DIGITAL X 編集部
2018年9月7日

竹中工務店は、杭打ち工事に利用するために、地層の分布を3Dモデル化するシステムを開発した。杭の必要な長さや、適切な打ち込み場所を導き出すことで、設計作業や施工業務の効率を高めるのが狙い。愛知県での大規模展示場建設における杭打ち工事に利用した。2018年8月23日に発表した。

 竹中工務店が開発した「ANAGO(ANAlysis for Geologic Optimum)」は、事前のボーリングデータから支持層の深さや傾きの3D(3次元)モデルを作成するためのシステム。作成した3Dモデルを分析し、杭を打ち込む場所と打ち込む杭の長さを自動的に決定する。これにより、設計にかかる時間を80%削減できるとする。

 さらに施工時には、杭を打ち込みながら、支持層の実際の深さや傾斜を検知し、3Dモデルと打ち込むべき杭の長さを修正する(図1)。杭打機の施工管理に必要な人員を、これまでの1人で2.8台から1人で4台にまで効率を高められるという。

図1:杭を実際に打ち込みながら、支持層の深さやこれから打ち込む杭の長さを自動的に補正する

 竹中工務店はANAGOを、愛知県での大規模展示場建設における杭打ち工事で初めて利用した。傾斜が大きい支持層に3000本以上の杭を打ち込む工事だったが、100回程度のボーリング調査の結果をANAGOで分析したことで、施工品質を確保しながら業務を大幅に効率化できたとしている。

 杭打ち工事では、事前にボーリング調査を実施し、杭を確実に支える「支持層」がどのような形で広がっているのか推定する。ただ杭を1本打ち込むごとにボーリング調査をしていては時間がかかるため、限られたボーリング調査の結果から支持層の深さや形を推定することになる。

 この推定作業は難しく、施工段階で、支持層の深さや傾斜が推定とは異なっていることが分かるケースもある。推定より長い杭が必要になれば、長い杭を作り直さなければならず、施工期間を長びかせる要因になっていた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名竹中工務店
業種製造
地域大阪市
課題杭打ち工事において、限られたポーリング調査の結果だけでは地中の様子を完全に把握できず、その推定や、施工時に杭の長さを調整するなどが設計・施行を難しkしていた
解決の仕組みポーリング調査の結果から地相の3Dモデルを作成し、必要な工事内容を設計するとともに、施工中に得られるデータにより3Dモデルを改善し、より適切な施工を実現する
推進母体/体制竹中工務店
活用しているデータ地層のポーリング調査の結果、および施工中に取得する地層データなど
採用している製品/サービス/技術BIM()やシミュレーション技術など
稼働時期初適用した大規模展示場の施行期間は2017年9月 ~ 2019年8月