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シェアリングビジネスのためのサービス基盤、NECが発売

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2017年10月17日

余剰資産を有効活用するシェアリングビジネスを実現するためのIT基盤サービスをNECが2017年10月16日に発売した。会員管理と余剰資産のシェアリング管理機能を持ち、それぞれのマッチングを可能にする。自治体や企業に向けて提供し、シェアリングサービスの立ち上げを容易にする。

 NECが発売したのは「シェアリングサービスプラットフォーム」と呼ぶクラウドサービス。会員管理機能と、余剰資産のシェアリング管理の2つの機能を提供する。両機能を分けることで、同じ会員群に複数のシェアリングサービスを提供することが容易になるとしている(図1)。例えば自治体であれば、住民に対する物品シェアや家事支援、防災用品シェアなど複数のシェアリングサービスを展開できる。

図1:2層構造を持つNECの「シェアリングサービスプラットフォーム」の構成概念

 会員管理機能とシェアリング管理機能を分けることによるメリットは大きく2つある。1つはセキュリティの強化。シェアリング管理を個人情報ではなくIDのみで管理することで、シェアリングサービスを他社へ委託する際も、会員の個人情報を提供する必要がなく、IDのみで運用できるからだ。

 もう1つは、複数のサービス展開が容易になること。上記と同じ理由から、会員管理機能はそのままに、新しいシェアリングサービスを追加すればよいからだ。サービス追加時も、プラットフォームが持つ基本機能を使えば、必要なパラメーターを設定するだけでサービス立ち上げられるとしている。

 プラットフォームは、NECのAI技術群「NEC the WISE」や、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスとの通信管理、顔認証やマイナンバーカード認証による本人確認といった機能との連携も容易にしている。これらを組み合わせることで、シェアリングサービスの実績を把握したり、より精度が高い需要予測などが可能になるという。

 シェアリングサービスは米Uber Technologiesのタクシー配車サービス「Uber」や米Airbnbの民泊サービス「Airbnb」など、既存産業を“Disrupt(破壊)”するサービスとして一気に広がっている。日本でも、少子高齢化に代表される社会課題を前に、余剰資産を必要な時に安価に利用できるサービスとして広がり始めている。

 2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けたインバウンド需要への期待もあり、法改正などを含め、政府や自治体による普及促進策も始まっている。

 なお、NECは「シェアリングサービスプラットフォーム」を東京・有楽町で2017年11月9日と10日に開く自社イベント「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2017」に展示する。