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米IBM、国際通貨の決済時間短縮に向けブロックチェーンネットワークを構築へ

DIGITAL X 編集部
2017年10月20日

米IBMが国際通貨の決済時間を短縮するためのブロックチェーンネットワークを構築する。まずは南太平洋諸国の国際取引に対応。将来は世界各国の主要銀行に参加を呼び掛け、世界規模で利用できるようにする。2017年10月16日にIBMが発表した。

 開発するブロックチェーンネットワークはIBMの「IBM Blockchain」で構築する。OSS(Open Source Software:オープンソースソフトウェア)のブロックチェーン基盤である「Hyperledger Fabric」を基にした製品だ。これに、米国の非営利団体Stellar.orgが仮想通貨「ルーメン(XML)」を流通させているブロックチェーンネットワークと、ニュージーランドのKlickEx Groupが南太平洋地域で個人向け国際送金サービスを提供しているネットワークとを接続する。

 Stellar.orgのネットワークでは、参加している多数のコンピューターが連携して、異種通貨の交換取引を短時間で成立させることができる。IBMのブロックチェーンネットワークは、Stellar.orgのサービスを利用して通貨交換を短時間で完了させ、KlickEx Groupの顧客が指定した送金先に交換した金銭を届け、その過程をブロックチェーンに記録する。KlickEx Groupは、このサービスを南太平洋諸国で企業や個人消費者に提供する窓口になる。

 現在、他国への送金や国際的な決済では、コストと多くの労力がかかっている。人手による処理が何度も発生する間違いも起こりやすい。複数業者を仲介させるため、それぞれに手数料を支払うためコストがふくらんでいる。取引完了までに数日、あるいは数週間がかかることがある。

 IBMによれば、開発中のブロックチェーンはすでに、南太平洋諸国とオーストラリア、ニュージーランド、そしてイギリスの間で12種の通貨の交換と送金を処理しているという。2018年早々にはオーストラリア、ニュージーランド、フィジー、サモア、トンガなどの南太平洋諸国における国際的な小口外国為替取引決済の最大60%を処理するようになる見込みだという。

 このブロックチェーンネットワークの構築に向けてIBMは、アルゼンチン、インドネシア、タイ、フィリピンといった国々の金融機関の経営者を集め説明。ナショナルオーストラリア銀行、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの経営者も参加したという。IBMは2018年以降、参加した金融機関に、このブロックチェーンネットワークへの接続を働き掛けていく。これらの金融機関がにつながれば、日本や米国などもつながる国際的な送金決済網ができることになる。