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仙台市、ドローン使う防災から5Gでのスマートシティ、産業育成まででノキアと連携協定を締結

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2017年10月18日
写真1:サインした連携協定書を手にする仙台市の郡 和子 市長(右)とノキアソリューションズ&ネットワークスのジェイ・ウォン社長

仙台市は2017年10月17日、フィンランドの通信大手ノキアと連携に向けて協定を結んだ。ノキアが持つテクノロジーなどを活用し、防災・減災に向けたドローンの活用から、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を使ったスマートシティへの取り組み、さらにはベンチャー育成などを含めた地域産業の育成までに取り組む。ノキアが日本の政府・自治体と協定を結ぶのは、これが初めて。

 協定締結に臨んだ仙台市の郡 和子 市長は、「仙台市は今“市民との協働による、まちづくり”を掲げ、多様な団体と連携を図っている。ノキアとの連携では、最先端技術による防災・減災のための仕組みの実用化を目指すほか、世界各地で展開されているスマートシティの知見にも期待する。同時に、起業家支援など地元企業が海外展開を図るための足がかりにしたい」と、今回の協定への期待を語った。

 これに対しノキアソリューションズ&ネットワークスのジェイ・ウォン社長は、「ノキアはトランスフォーメーションを続けてきた企業。だが、日本の政府・自治体と連携するのは150年の歴史の中でも初めてになる。現在は、ネットワークを基盤にした第4次産業革命の時代である。東日本大震災からの復興に向けて、当社の技術力で応えたい」とした。

 連携によって取り組むテーマは大きく3つある。いずれも2018年に第1ステップとして実績を作り、2019年からの第2ステップで適用範囲を拡げていく計画である。

 テーマの1つは、防災・減災のための仕組みの実用化(写真2)。具体的には、非常用の可搬型LTE網を活用したドローンによるモニタリングや救援活動、および救助者などへのグループ通話サービスなどを実証する。ノキアによれば、ドバイなどにおいて同社は、災害時の通信環境の確保やドローンによる救助などの仕組みを構築し、実際の救助訓練などを実施しているという。第2ステップではこれを平時の安心・安全に向けた都市サービスへと発展させた考えである。

写真2:防災・減災に向けたドローンの活用などを実証していく

 防災・減災領域で仙台市は、NTTドコモとも、まちづくり推進に向けた連携協定を2016年8月29日に締結している。そこでは、防災計画等の策定や携帯電話通信が使えない場合の代替手段となる端末間通信などの実証が先行しており、ノキアとの連携は「ドコモとの取り組みなどを保管する位置付けになる」(仙台市経済局産業振興課長の白岩 靖史 氏)としている。