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金融業界のデジタルイノベーションに向けた業界団体、NRIと日本マイクロソフトが設立
金融機関が利用するデジタルテクノロジーに関する情報を交換し、その価値を実証実験で確認するための”場”を作る業界団体「金融デジタルイノベーションコンソーシアム」が2017年11月1日に設立された。団体を設立した野村総合研究所(NRI)と日本マイクロソフトが2017年10月30日に発表した。
FinTechに象徴されるように金融機関は今、競争力向上に向けデジタルテクノロジーの活用に力を入れている。クラウドやブロックチェーン、AI(人工知能)などである。金融デジタルイノベーションコンソーシアムでは、テクノロジーの活用により金融機関の業務工数削減やIT機器への最適な規模の投資、サービスリリースの短縮などにより収益性を高め、その結果として金融機関の業務改善や業容の拡大につなげることを目指す。
当面の活動対象は3つある。1つは「金融クラウド」の実現に向けた実証実験。2018年3月に改正予定の「FISC安全対策基準」では、セキュリティの確保や各国の法令遵守(コンプライアンス)など一定の条件を満たせば、金融機関が業務にクラウドサービスを利用できるようになる。それに先立って検証用システムを構築し実証実験を実施することで、金融機関が求める要件を満たすクラウド基盤の標準化を目指す。
2つ目は、より高度なデータ活用についての研究である。金融機関が保有するデータを各方面から分析し、これまでにない金融サービスの実現や業務効率の改善といった効果を狙う。
最後は、AI、深層学習、ブロックチェーンといった最先端技術を活用したビジネスモデルの開発を目指し、次世代の金融システムのあり方を研究すること。セキュリティ対策におけるコンプライアンスといった共通課題については参加企業が情報を持ち寄り、標準化やリファレンスアーキテクチャーの策定も目指す。
NRIは、これから設置予定の複数のワーキンググループで議論と活動を推進させる役目を担う。日本マイクロソフトは事務局を務めるとともに、実証実験や各種検証のための環境として「Microsoft Azure」を提供する。今後は、上記の3テーマ以外にもテーマを拡大していく。
発足時点での参加企業は、NRIと日本マイクロソフトのほかに、インテック、印インフォシス日本支社、新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)、電通国際情報サービス(ISID)、日本システム技術、 日本ビジネスシステムズ、日本ユニシス、ニューメリカルテクノロジーズ、FIXERの9社。参加企業は、さらに拡大させていくとしている。