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IBM Watsonなどが無料で無期限に利用可能に、日本IBMが提供開始

DIGITAL X 編集部
2017年11月3日

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)のシステム構築には試行錯誤がつきもので、PoC(概念検証)などでは試作や検証に時間がかかる傾向がある。そうした課題に対し日本IBMは、同社のAIプラットフォームである「Watson」などを開発者が無料で、かつ無期限に利用できるサービスを2017年10月27日から開始した。同日に発表した。

 日本IBMが提供を始めたのは「IBM Cloudライト・アカウント」。ユーザー登録のみで「IBM Bluemix」ブランドで提供しているクラウドの機能の一部を利用できる。これまで30日間の無料試用サービスを提供していたが、顧客からは、より長期間に渡って試用したいという声が上がっていたという。

 IBM Cloudライト・アカウントで利用できるクラウド環境は、最大で256Mバイトのメモリーや、デュアルプロセサで4Gバイトのメモリーを載せたKubernetesクラスター環境など。この環境に適合するサービスやAPIであれば、「カタログ」から選択して利用できる(図1)。企業による商用利用も可能だ。アプリケーションが本格的に動き始め、ライト・アカウントの制限内では利用が難しくなれば、有料プランに移行することになる。

図1:サービスやAPIを並べた「カタログ」を一覧できる

 使用できるサービス/APIは、Watson APIを含め、データ分析やIoT基盤など25種類。具体的には以下のようなAPI、サービスを利用できる。

IBM Watson API
Conversation会話の組み立て、やりとりの自動化
Discovery適切な意思決定に役立つパターン、傾向、実行可能な洞察を識別
Language Translator多言語翻訳
Natural Language Understanding自然言語の文章から概念、エンティティー、キーワード、感情、関係、意味役割などのメタデータを抽出
Personality Insights文章から性格を分析
Tone Analyzer文章から感情を分析(日本語未対応)
データ分析
Apache Sparkビッグデータ分析基盤
Cloudant NoSQL DBNoSQLデータベース
Data Science Experienceデータサイエンティストとエンジニアのためのチーム分析環境
Streaming Analyticsリアルタイム・データ・ソースからのデータの取り込み、分析、モニター、相関分析の機能を提供
その他
Activity Trackerクラウド上のアクティビティーのトラッキングツール
Availability Monitoringアプリの状態監視ツール
Continuous DeliveryDevOpsツールチェーンの構築運用支援ツール
Log Analysisログ管理と分析
Internet of Things PlatformIoTプラットフォームアプリ
Kubernetes Clusterコンテナ管理ツール
Container Registryコンテナのリポジトリ
Object Storage非構造化データ向けのオブジェクトストレージ
API ConnectAPI作成、公開、管理
App Connectアプリケーション連携
Push Notificationsモバイルプッシュ通知
Internet of Things Platform StarterNode-REDを使用してIoT Platformアプリを作成する環境
Node.js Cloudant DB Web StarterCloudant NoSQL DBとSDK for Node.jsランタイムを併用できる環境
Python FlaskPythonの軽量フレームワーク
Ruby SinatraSinatraフレームワークを使用してRuby Webアプリを開発

 IBM Cloudライト・アカウントの制限事項もある。アプリケーションの開発実行環境(インスタンス)は1アカウントに付き1つまで。10日間続けてアプリケーションが動作しない状態が続くと、開発したアプリケーションはスリープ状態に移行する。30日間連続でアプリケーションが動作しないままになると、アプリケーションが作動する基盤であるインスタンスは自動的に削除される。