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米国でクルマの走行安全性をLTE網とITSを併用して確保する実験、米Qualcommが主催

DIGITAL X 編集部
2017年11月8日

無線回線のLTE網による通信機能を使って自動車の走行安全性を高める実証実験がアメリカで2017年中にも始まる。自動車メーカーの米Fordと、通信事業者の米AT&T、通信機器メーカーであるフィンランドのNoki、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)機器を販売する米McCainが参加する。実験を主催するQualcommが2017年10月31日に発表した。

 試験の場になるのは、米カリフォルニア州サンディエゴにある「San Diego Regional Proving Ground」。州間高速道路15号線(Interstate 15)の一部と、チュラビスタ町の公道などで構成されるルートだ。同ルートは、米運輸省(U.S. Department of Transportation)が国内の自動運転の実証拠点として指定した10拠点の1つになっている。

 実験では、クルマとクルマが通信する「車々間通信」によって、後続車に追い越しをしないよう信号を送ったり、交差点の左折時に安全に運転できるように支援するといった機能を検証する。同時に、インターネット通信を介してナビゲーションシステムの情報更新なども試みる。

 車々間通信には、LTEを利用したクルマ用の通信技術「Cellular-V2X(C-V2X)」を利用する。「V2X」は「Vehicle-to-Everything」の略で、「V2V(車々間通信)」のほかに、「V2P(自動車と歩行者の通信)」や「V2I(自動車と交通設備との通信)」などの機能と、インターネット通信機能を併せ持つ。

 今回は、Ford製の車両にQualcommが開発したC-V2X対応通信チップ「Qualcomm 9150」を搭載し実験する。同チップは、ITS通信の機能も持っており、ITSの電波から得られる情報も利用する。ITSは5.9GHzの電波を利用してデータをやり取りできるため、LTE回線の契約がない車両でも、V2VやV2P、V2Iなどの機能を利用できる。

 AT&TがLTE回線を提供し、Nokiaはエッジコンピューティング機器を活用してITSネットワークを構築する。McCainは、既存の信号などの設備との連携を担当する。