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制御したい機器の近くでディープラーニングを実行するためのデバイス、クラウディアンが開発

DIGITAL X 編集部
2017年12月15日

ディープラーニング(深層学習)の処理をエッジ側で実行するためのデバイスを、ソフトウェアストレージベンダーのクラウディアンが開発した。深層学習によって得られた指示を対象機器のすぐ近くから返すことで、ネットワークが原因の遅延を最小限に抑えられる。2017年12月12日に発表した。

 開発した「CLOUDIAN AI Box(以下:AI Box)」は、ネットワークカメラや各種センサーの誓うに配置でき、画像やセンサーの検出値などをディープラーニング(深層学習)のアルゴリズムで解析するためのデバイス。リアルタイムな制御が必要な機器を対象に、データをクラウドなどに送らずに解析する。防水・防塵・落雷対策を施した全天候型と、屋内設置型の2種類がある。

 ディープラーニングの処理は、内蔵するボードコンピュータ「NVIDIA Jetson TX2」で実行する。NVIDIAの「Pascal」アーキテクチャーに沿うGPUコアを256個搭載し、映像・画像の認識、分類整理といった処理をこなす。ディープラーニングの仕組み自体は搭載しておらず。クラウディアンは、AI Boxを利用するAI関連ソフトウェアの開発企業を広く募集したい考え。

 リアルタイムな解析と制御と並行して、各種データは、クラウディアンのオブジェクトストレージ「CLOUDIAN HYPERSTORE」にインターネット経由で送信・保存できる。保存したデータに対しては、高性能なGPUサーバーを使って、より高度な手法で分析すればよいとする(図1)。

図1:Cloudian_AI_Box単独でのディープラーニングに加え、クラウド側にデータを送ることで、より高度な分析を可能にする

 送信するデータは、分析結果、認識した部分画像、映像・画像全体のデータから、目的に合わせて選定できる。4Kカメラによる動画データなどは分析結果だけを送ることで、ネットワーク負荷を軽減できる。学習用画像を大量に送信する場合は、画像のフレームレートを下げたり、ネットワーク利用者が少ない時間帯に送信するなどで通信時間の短縮を図る。

 ネットワークカメラやセンサーとの接続インタフェースにはPoE(Power over Ethernet)対応端子を持つ。Ethernetケーブルを通した電力供給ができる。インターネットへの接続は、LTEと無線LANに対応する。