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コミュニケーションロボットを動作させるクラウドサービス、富士通が体系化して提供へ
人間との対話に向けた「コミュニケーションロボット」は一般に、クラウド上にあるAI(人工知能)と連携し動作する。対話する相手を個人認識したり、表情の変化を認識したりだ。そうしたクラウドサービスを富士通が体系化し2018年3月末までに正式に提供を開始する。先行して2017年12月12日から実証のための環境と、導入に向けたコンサルティングサービスを提供している。
富士通が提供するのは、同社のAI(人工知能)技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を組み込んだ「ロボットAIプラットフォーム」。人とのコミュニケーション領域で独自技術を持つ複数の企業とパートナーシップを組み、コミュニケーションロボット用に体系化した(図1)。2018年3月までに正式にサービス提供を開始する。
ロボットAIプラットフォームには、企業システムとの連動などのサービスを提供する「ロボットAIプラットフォーム 基本サービス for unibo」や、uniboに限らずスマートフォンやタブレットなどさまざまな機器を対象とした「ロボットAIプラットフォーム 基本サービス for マルチデバイス」などがある。
コミュニケーション機能としては、顔の一部がサングラスなどで隠れていても正確に認識できる顔認識機能や、相手の表情の変化を検知し喜怒哀楽を判別する機能、相手の発声から感情を分析する機能などを用意する。
ロボット側から話しかけて対話相手の嗜好や状態を把握する技術は富士通研究所が開発。対話相手の対話意図を絞り込み目的に合わせて対話する技術はイナゴが開発したものを採用した。顔認識と表情の変化から喜怒哀楽を判別する技術は富士通とsMedioが共同開発し、発声音から感情を分析する技術はEmpathが開発している。
コミュニケーションロボットとしては、まずはユニロボット製の「unibo」を対象にする(図2)。
サービスの体系化に向けて富士通は、複数の企業や団体に先行導入している。例えば、法人向けIoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービスを展開するConnected Designは、育児中の主婦に向けたスマートホームサービスに、名古屋市は、特別養護老人ホームにおいて、職員の業務負荷軽減や介護の質の向上と、自治体が負担する介護保険費用の抑制を目指してコミュニケーションロボを検証している。
また沼津信用金庫は、新店舗開店時のセレモニー対応や受付窓口での来客対応、金融商品の情報紹介などに適用。スマートフォン向けアプリケーションの開発などを手がけるアクロディアは、受付などに置くインターフォンをロボットAIプラットフォームに接続し、無人での応対を試みている。
サービスの正式開始に先立ち、実証のための環境と導入支援のコンサルティングを開始した。実証環境になるのは、ロボットAIプラットフォームとuniboをセットにした「ロボットAIプラットフォーム 実証パック for unibo」。実証パックでは、uniboが人間に話しかけ、相手の嗜好や状態を把握し、それに応じた話題を提供して会話を続けたり、相手の対話意図を絞り込んで、目的に合わせて会話したりが検証できる。
実証パック for uniboの料金は、1年間の実証が64万8000円(税別)。導入支援のコンサルティング料金は個別見積もりになる。