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秒間1000枚の画像を処理できるシステム、東大発ベンチャーのエクスビジョンが提供へ

DIGITAL X 編集部
2018年1月5日

工場での検品業務などにAI(人工知能)による画像認識を利用する動きが広がっている。生産ラインなどに画像処理機能を組み込むためのハードウェアとソフトウェア環境を東大発ベンチャーのエクスビジョンが2018年1月下旬から提供を開始する。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)での研究成果を元に開発した。

 エクスビジョンは、東京大学情報理工学系研究科の石川渡辺研究室が開発する高速画像処理技術や、ジェスチャーシステムなどの事業化に取り組む大学発のベンチャー企業。石川教授がCTO(最高技術責任者)を務め、CEOと取締役には、いずれもマイクロソフトディベロップメント代表取締役社長を務めた藤井 照穂 氏と加治佐 俊一 氏が就いている。

 1月下旬にも提供を始めるのは「High Speed Vision Software Development Kit(HSV SDK)」と呼ぶシステム。専用のハードウェアとソフトウェア基盤、およびソフトウェア開発環境から成る(図1)。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」で得た成果を基に開発した。同事業には東大と、複数の企業が参加する。

図1:エクスビジョンが提供するソフトウェア開発キットのハードウェア部分

 HSV SDKの特徴は、肉眼では追うのが難しい速度で移動する物体を撮影し、その画像データをリアルタイムで処理できる点。工場の生産現場や検査現場などでの利用を想定し、専用ハードウェアと共通ソフトウェアをセットにして提供する。

 ハードウェアには、ソニーセミコンダクタソリューションズ製の高速イメージセンサー「IMX382」を搭載し、1秒間に1000フレームの画像を撮影。そこから対象物の色や重心位置などをリアルタイムに検出したり追跡したりできる。これにより、高速な移動体に対応するために従来は必要だった予測制御が不要になるとしている。

 ソフトウェア開発環境を使ってアプリケーションを開発すれば、工場内だけでなく、映像メディアや、バイオ・医療、セキュリティ、自動車・交通、高速な3D入力、高速ロボットといった分野でも利用できる。エクスビジョンは、この汎用性をテコに、業種・業務を問わない横断的な基盤技術になることを目指す。