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北九州市、薬の重複投与や多剤投与の抑制に向けた処方薬情報の分析を実証実験
北九州市で、薬の重複投与や多剤投与を抑制するために薬局が持つ処方薬情報を分析する実証実験が始まっている。不要、あるいは必要以上の薬剤の投与による健康被害を防ぎ、医療費の低減を狙う。実証実験を実施する日本医事保険教育協会、Windy、IIJ(インターネットイニシアティブ)が2017年12月18日に発表した。
実験するのは、調剤薬局が保険者に提出する「調剤レセプト情報」を分析し、薬剤の重複投与や過剰な多剤投与の例を抽出することが、薬害の回避や医療費の削減にどれだけの効果が見込めるかの検証である。北九州市は、他の都市と比べても高齢化が急速に進んでおり、医療費の負担が高まっている。九州ヒューマンメディア創造センターが支援する。
まずは調剤レセプト情報を匿名化し、IIJのクラウドサービス「IIJ GIO」で分析。その結果から、健康被害のリスクが発生しうる多剤投与などの例を抽出し、日本医事保険教育協会が提供する保健指導サービスや、かかりつけ薬剤師による指導計画を作成し、対象患者に服薬を指導し残薬を確認する。医師とも連携し、投薬を調整し、その結果を患者の家族にも伝える(図1)。
患者への服薬指導や残薬管理には、Windyの「お薬カレンダー」を使う。調剤薬局が薬剤の引渡し時に、1回に服用する薬剤をまとめてパックにし、それぞれのパックに服用日、服用時間などの必要事項を記載したシールを貼り付けるもので、このシールを見ることで患者は、正しく服用できているか、服用忘れがないかを確認できる。
投薬指導では、「IIJ電子@連絡帳サービス」を使用して、医療機関、薬局、医療保険者などが情報をやり取りできるようにする。IIJ電子@連絡帳サービスでは、機密漏洩を防ぐためのセキュリティを確保する。
2018年1月中には、調剤レセプト情報の分析による医療費削減のシミュレーションと重複/多剤投与患者のリスク評価を完了。2018年2月から6月にかけては、分析結果に応じた患者への服薬指導と、処方の適正化を図る。2018年7月から12月に、お薬カレンダーを使って、患者が薬剤を正しく服用できているか、服用忘れがないかをすぐに確認できる体制を作る計画である。
企業/組織名 | 北九州市 |
業種 | 公共 |
地域 | 北九州市 |
課題 | 高齢化が他の都市と比べ急速に進展し、医療ニーズが高まっているが、重複投与や多剤投与につながり医療費負担が高まっている |
解決の仕組み | 薬局が持つ薬の処方情報から重複投与や多剤投与の例を抽出し、同様の患者に注意喚起したり服薬状況を管理し、薬剤投与の最適化を図る |
推進母体/体制 | 日本医事保険教育協会、Windy、IIJ(インターネットイニシアティブ)がコンソーシアムを結成し分析からサービス提供までを実施。全体を九州ヒューマンメディア創造センターが支援する。 |
活用しているデータ | 調剤薬局が保険者に提出する「調剤レセプト情報」 |
採用している製品/サービス/技術 | IIJのクラウドサービス「IIJ GIO」と「IIJ電子@連絡帳サービス」、日本医事保険教育協会が提供する保健指導サービス、Windyの「お薬カレンダー」 |
稼働時期 | 2018年1月から12月 |