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物流業に向けた貨物追跡サービス、自動運転用地図データのオランダHereが提供へ

DIGITAL X 編集部
2018年1月12日

自動運転車用の地図データの提供などを手がけるオランダのHere Technologiesが、物流貨物の追跡サービスに乗り出す。貨物に付けるデバイスを独自に開発することで、長時間、高い精度での追跡を可能にしたという。2017年12月19日に発表した。

 新サービスの「HERE Tracking」は、個々の貨物の現在位置を低コストでリアルタイムに把握するためのクラウドサービス。従来の追跡サービスでは、追跡用デバイスの消費電力が大きく、長期間稼働させるには高価で大型の電池が必要だった。HERE Trackingでは、専用デバイスと、それに搭載する半導体を新たに開発することで消費電力量を抑え、小型の電池でも長期間稼働できるようにした。

 追跡用デバイスの開発では、台湾の半導体メーカーMediaTekと提携。MediaTekのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)部門であるAirohaが、追跡用のチップセットを発売する予定である。同チップセットを搭載した追跡用デバイスの製造では、中国のConcox Information Technologyとも提携している。

 HERE Trackingのサービス自体は、同社の位置情報基盤「HERE Open Location Platform」が持つ、屋内外の高精度の地図データを利用している。緯度・経度を特定する「ジオコーディング」機能も持つ。追跡情報を提供するAPIや、設定した区域から出入りしたことを知らせる「ジオフェンシング」のAPI、経路分析のAPIを備えており、既存システムに対し貨物の現在位置などを表示できる。各種データを視覚化するツールも用意している。

 HERE Technologiesによると、海運業界では年間平均で1000個以上のコンテナが失われ、航空物流では年間平均で2000万個以上の手荷物を紛失している。陸路での輸送では、盗難や紛失、効率の悪いルート選択により、何十億ドルもの損失が発生しているとする。そこにHERE Trackingを使って貨物をリアルタイムで追跡すれば、紛失や到着の遅延を防げ、輸送にかかる無駄なコストを削減できるほか、配送計画をリアルタイムに調整できるようになるという。