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経済成長に自信もデジタル人材の確保は困難、日本企業は対策にも出遅れ感、PwCの世界CEO調査
「世界のCEOの大半が今後の経済成長に自信を見せる中、アジアと日本のCEOはデジタル人材の確保に頭を悩ませている」--。こんな結果が英PwCが世界のCEOを対象に実施した調査結果から浮かんできた。PwC Japanが2018年2月28日に結果を発表した。
英PwCが実施したのは「世界CEO意識調査」。21回目となる今回は、世界85カ国のCEO約1300名が対象で、そのうち日本のCEOが123名含まれる。
今後12カ月の世界経済の成長見通しについて、世界のCEOの57%が「改善する」と回答。この質問は2012年から尋ねているが、「改善する」が「変動なし」を上回ったのは今回が初めてになる(図1)。
自社の今後12カ月の成長見通しについて「非常に自信がある」との回答は、世界のCEOが42%であるのに対し、日本のCEOは24%だった(図2)。ただし、世界全体は前年からは4ポイント増なのに対し、日本は10ポイント増えている。
この差の背景には、成長のための施策の優先順位の差があるのかもしれない。今後12カ月間に、売上拡大や利益の向上のために取り組む施策について、日米のCEOがともに「本業の成長」をトップに上げるものの、米国のCEOがM&Aを、それに続く重要施策に挙げるのに対し、日本のCEOはコスト削減を挙げる(図3)。2018年にM&Aを計画している割合も、米国企業の69%に対し、日本企業は41%だった。M&Aが最善策とは限らないものの、デジタル化や、そのためのスピード経営に対する認識の違いがうかがえる。
また、自社の成長に対しCEOが懸念する脅威を見ると、欧米と日本を含むアジアとの間に大きな違いがある。アジアの企業は、デジタル人材の確保に対し、より大きな懸念を抱いている(図4)。
経営層にデジタル人材を迎え入れることを「非常に困難」と回答したCEOは、世界では23%、米国では13%なのに対し、日本は33%、中国・香港は46%と高かった(図5の左)。従業員としてデジタル人材を確保することを「非常に困難」と回答したCEOは、世界では22%、米国が19%に対し、日本は25%、中国・香港は33%だった(図5の右)。
にもかかわらず、デジタル人材の確保、育成に向けた取り組みについての回答を見ると、日本企業が世界に比べて大きく遅れていることが分かる(図6)。米国や中国・香港の企業が、デジタル人材の確保に向けて職場環境の整備や他社との協業などに積極的に取り組んでいるのに対し、日本企業はほとんど対策を打てていない。
経済成長に向けては日本企業のCEOも自信を取り戻しつつあるものの、デジタルトランスフォーメーションに向けて不可欠なデジタル人材の確保に向けては良策を見つけ出せていない。日本の若手の流動性がグローバルに広がりつつある今、より具体的な対策を早期に打つ必要がありそうだ。