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デジタル変革への日本企業の取り組みは既存システムの延長にとどまる、IDC Japan調査

DIGITAL X 編集部
2018年3月12日

「日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みの多くは短期的で、従来システムの延長でしかない」--。こんな調査結果をIDC Japanが公表した。DXを推進する人材確保・育成が重要だと指摘している。2018年3月6日に発表した。

 調査は、国内の大企業(従業員1000人以上)に所属する部長級以上あるいは、予算・企画などで意思決定権を持つ係長級以上の548人を対象にWebアンケートとして実施。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の成熟度を測った。

 結果、日本企業の約4割が、5段階中3番目のステージにあったという(図1)。ステージ3は「標準基盤化」の段階で、DXに向けた取り組みは企業戦略と連携しているが短期的だとされる。この結果についてIDC Japanは、「DXに取り組む企業は多いものの、その取り組みは短期的で、従来のビジネスの効率化が中心である」とみている。

図1:日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは半数以上が「ステージ3」以下だった

 IDCが定める成熟度は、IT環境をまったく導入していない状況を「ステージ0(未導入)」とし、「ステージ1=個人依存」「ステージ2=限定的導入」「ステージ3=標準基盤化」「ステージ4=定量的管理」「ステージ5=継続的革新」の5段階で評価する。DXの成熟度を測る今回は、各社の取り組みを「リーダーシップ」「オムニチャネル」「労働力」「運用モデル」「データ」の5つ側面から、その変革度合いを調べている。

 結果として、日本企業のDXの進行度合いは、ステージ1が3.6%、ステージ2が17.9%、ステージ3が42.6%、ステージ4が30.3%、ステージ5が5.6%だった。半分以上の企業がステージ3以下にとどまっていることになる。変革度合いを調べた5つの側面では、すべてがステージ3という企業が最も多かったという。

 IDC Japanは前年にも同じ調査を実施しているが、今回の結果は前回から大きな進展がなかったとしている。この状況から脱するには、「組織の壁を越えて横断的に変革をもたらし続けるDX人材が欠かせない」としており、「DX人材の発掘・育成・確保に力を入れ、その人材が活躍できる環境を整備する必要がある」と指摘する。