- News
- サービス
AR/VR用ヘッドセットの世界出荷台数は2022年に6894万台に、IDC調査
調査会社のIDC JapanがAR(拡張現実)/VR(仮想現実)用ヘッドセットの出荷台数予測を2018年3月29日に発表した。今後は、スマホをはめて使うタイプからディスプレイ内蔵タイプに主役が交代し、2022年には世界で6894万台が出荷されるという。
IDC Japanの調査によれば、2017年のAR(拡張現実)/VR(仮想現実)ヘッドセットの世界出荷台数は、前年比9.1%減の836万台。スマートフォンをはめ込んで利用する「スクリーンレス型」の出荷台数が減少したため。スクリーンレス型で大きなシェアを持っていたメーカーが、スマホとのセット販売を止める動きが続いたのが原因である。加えて、スマホの所有者がスクリーンレス型を別途購入するケースも少なかった。
しかしAR/VRヘッドセットの世界出荷台数は2018年に再び成長に転じ、前年比48.5%の1242万台になる。2022年までは年複利成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)52.5%で推移し、2022年には6894万台にまで伸びるという(図1)。
出荷台数が伸びるのは。スクリーンレス型に比べて多機能なディスプレイ内蔵型(スタンドアロン型、ケーブル型)が手頃な価格で登場するため。こうした動きは2017年第四半期から始まっている。米マイクロソフトの「Windows Mixed Reality」に対応したVRヘッドセットをエイサー、ASUS、デル、富士通、HP、レノボ、サムスンが発売した。これらはWindows PCに接続して使用する「ケーブル型」である。
2018年には、ヘッドセット単体で動作する「スタンドアロン型」の製品が登場する。Facebookの「Oculus Go」、HTCの「Vive Pro」に加えて、Google Daydreamに対応する「Mirage Solo」(Lenovo)といった製品が手頃な価格で登場するとみられる。
ARとVRの別に出荷台数をみれば、ARヘッドセットはスクリーンレス型が2019年まで出荷量を伸ばした後は、スタンドアロン型とケーブル型が成長し、2022年までに市場の35%以上を占めるとしている(図2)。ただ、ARヘッドセットは技術的に製品価格が高くなるため、2022年までは業務用途中心に留まるとしている。
VRヘッドセット市場でも、スクリーンレス型が占める割合が減少していき、2022年にはスタンドアロン型とケーブル型の出荷台数が市場の過半数を占めるという。特に、企業向け製品の比率が高まっていくと予測するる。現状、VRヘッドセットは一般消費者向けが大半を占めるが、2022年には企業向けが半数近くになるとしている。
なお日本市場だけをみれば、2017年のAR/VRヘッドセットの出荷台数は、前年比187.7%増の約34万台。安価に利用できるスクリーンレス型の需要が、エンターテインメントや不動産、観光などの業種で大きく伸びた。
日本市場の動きについてIDC Japanは「明らかに世界の流れから遅れを取っている」としながら、スクリーンレス型の需要が伸びた点を挙げて「VRの利用がようやく日本でも広がりつつある」と評価している。ケーブル型やスタンドアロン型を利用する例も増えており、「運用ノウハウの蓄積が着実に進んでいるのは良い傾向だ」とする。逆に一般消費者市場では、ヘッドセットでAR/VRを体験している層が少なく裾野を広げていく必要があると指摘する。