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銀行幹部は自行データを信頼するが検証・評価は不十分と判断、米Accenture調査
「自行が保有するデータを信頼しているが、その検証と評価が十分とは言えない」--。データに対し銀行幹部が、このように判断していると、米Accentureが調査レポートで明らかにした。5つのITトレンドとともに、Accenture日本法人が2018年7月26日に発表した。
Accentureの『Banking Technology Vision 2018』は、銀行業界の動向をまとめた調査レポート。Accenture LabsとAccenture Researchが毎年発行している『Technology Vision』の2018年版に基づいている。
Banking Technology Vision 2018によれば、銀行の経営幹部らは、自行が保有しているデータを信頼しているものの、検証と評価が不十分だと判断している。具体的には、自行で保有するデータを「信頼している」との回答は94%(日本は94%)だったのに対し、「データの品質を十分に評価・確認していない」という回答が52%(同48%)だった(図1)。
その理由としては「データを信頼しているが、特に検証はしていない」「データの検証を試みてはいるが、品質についてはよく分からない」「データを検証しているが、品質確保に向けたさらなる取り組みが必要」などが挙げられている。
ただし、回答者の84%(同97%)は、重要な意思決定の自動化を推し進めるために、データを利用する機会が増えていると回答した。多くの銀行がデータの品質に自身を持てないままに、重要な意思決定の材料として利用しようとしていることになる。
Accentureのシニア マネジング・ディレクターで銀行グループの責任者であるAlan McIntyre氏は、この結果に対し、次のようにコメントしている。
「信頼性を欠く未検証のデータを活用してしまうと、銀行が誤った認識を抱き、正確とは言えない判断を下す恐れが強くなる。まずは、情報源までさかのぼってデータの履歴をすべて検証し、使用状況を理解することが必要だ。検証済みデータを適切に保護・保守することも大切である。銀行がデータから正確な判断を導き出すには、データの検証と、検証済みデータの保護と保守が欠かせない」
今回の調査では、銀行における創造的破壊の次の波となる5つのITトレンドを挙げている。(1)AIを「市民」に(Citizen AI)、(2)拡張現実(Extended Reality)、(3)データの信憑性(Data Veracity)、(4)摩擦ゼロ・ビジネス(Frictionless Business)、(5)インターネット・オブ・シンキング(Internet of Thinking)である。
このうちAIの活用については、多くの銀行が近い将来、店舗業務に活用したいと考えている。回答者の79%(同87%)が、「2年後にはAIが協力者、そして信頼できるアドバイザーとして、人と一緒に働くようになる」と考えている(図2)。
ただしAI活用に向けては、AIが顧客にとって「透明で理解できるものでなければならない」と考える回答者が多数を占める。AIが意思決定に使用する手法や一般原則を行員が理解するだけでなく、顧客にも理解してもらう必要があり、AIを透明で顧客が理解できるものにすることで、顧客からの信頼や信用を得られると考えているためだ。
またこれからの銀行システムに対する回答者の予想平均では「2.6年後には銀行のコンピューターシステムでブロックチェーンが稼働する」という結果もでている。