- News
- 交通
空港のデジタル変革に向けたIT投資額は2023年に5100億円規模に、米Frost & Sullivanが予測
世界中の空港でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進みつつあり、そのIT投資額は2023年には全世界で46億ドル(5106億円:1ドル=111円換算)に達する−−。米Frost & Sullivanは、こう予測する。日本法人が2018年8月29日に発表した。
米Frost & Sullivanの調査によれば、全世界の空港のIT投資額は2016年に35億6000万ドル(3952億円:1ドル=111円換算、以下同)。これが2023年には46億ドル(5106億円)に達するという。業務の効率化やサービス品質の向上に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが進むためだ。
Frost & SullivanでSenior Industry Analystを務めるRenjit Benjamin氏は、「空港はデータ駆動型のインフラに変化しつつあり、データ分析技術やストレージ、セキュリティサービスなどに向けて莫大な額を投資する動きは今後も続く。空港の機能や業務を統合管理するデータ基盤も成長していくだろう」と語る。
DXの目的は、ヨーロッパとアジア太平洋地域で異なる。ヨーロッパでは利用客が増加し、空港が処理できる旅客数が限界に近づきつつある。そのためITで業務効率を高め、より多くの利用客に対応できるようにするのが目的になる。
一方、アジア太平洋地域では、利用客向けのサービスや施設の品質を高め、利用客の空港に対する評価を高めることが目的になっているとする。
空港のDX化を促進する技術としてFrost & Sullivanは、(1)生体認証、(2)ブロックチェーン、(3)データ分析技術、(4)AI(人工知能)の4分野を挙げる。
生体認証は国境警備などさまざまな業務の自動化に役立つ。すでに本人確認業務に導入している空港もある。生体認証が普及すれば、搭乗時と到着地点で生体データを使って本人かどうかを確認するだけで済む可能性もあるとする。
ブロックチェーンは、生体データなどの個人データを保存するための信頼できるネットワークになる。セキュリティ関連の事故やプライバシー漏洩の可能性を排除できれば、利用者一人ひとりに合わせたサービス/製品と引き換えに、個人データを積極的に提供するようになるともしている。複数の企業が独立して処理している空港業務も、企業が協調して業務に取り組む形態への転換できるという。
データ分析技術により、空港のさまざまなシステムが生成するデータを分析すれば、空港の稼働状況をリアルタイムで把握でき、将来に起こる事象の予測も可能になる。担当者は利用者数がピークに達する時間帯や緊急事態を予測し、適切に対処するための準備を事前に済まられるようになる。
AIは今後、空港でのEC(電子商取引)への導入が進むほか、空港の空間や係員などのリソースの割り当ての効率化にも利用されるとしている。