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スマートシティ向けIoT基盤「FIWARE」使ったデータ流通基盤、NECが無償提供へ

DIGITAL X 編集部
2018年9月12日

スマートシティ向けIoT基盤「FIWARE」を使って構築したデータ流通基盤をNECが構築し、2018年10月から検証環境として無償提供する。システムは沖縄県に構築に、日本の企業や官公庁のほか、アジア企業にも利用をうながす。2018年8月29日に発表した。

 NECが構築するのは、スマートシティのためのデータ流通基盤。同社が2018年4月に提供を始めた「データ利活用基盤サービス」の検証用環境として無償で提供する。企業内のアプリケーション開発者やシステムインテグレーター、公的機関、研究機関など、さまざまな組織や個人が、同じデータを活用しながらスマートシティのための新しいサービスを開発したり、IoTゲートウェイやIoT端末の接続検証、官公庁が持つオープンデータの連携検証にも利用できるとする(図1)。

図1:NECが構築するスマートシティ向けデータ流通基盤(中段の青い部分)

 NECのデータ連携基盤の特徴は、都市に存在するモノや発生した出来事を「コンテキスト情報」というデータとして統合管理する点。コンテキスト情報は、公開API(Application Programming Interface)を通して外部に供給できる。利用者は簡易ダッシュボードで各種情報を確認できる。

 コンテキスト情報の変化履歴をデータとして蓄積・参照する「履歴データストレージ」や、アプリケーションに地理情報を提供する「地図基盤(GIS)」、画像や動画などのバイナリデータを格納するストレージ「バイナリデータストレージ」といった機能もある。

 一般的なセンサー端末からのデータは、MQTTなど標準的なプロトコルで受け取る。一般的でない端末からのデータは「NGSI(Next Generation Service Interfaces)」というAPIが受け付ける形式に変換して取り込む。

 また、「FIWARE」というOSS(オープンソースソフトウェア)のIoT基盤上で構築しているという特徴もある。FIWAREは、EU(欧州連合)が設立した「次世代インターネット官民連携プログラム(FI-PPP:Future Internet Public-Private Partnership)」が開発・実装したIoT基盤で、スマートシティや農業、工場、エネルギー、メディアなどの分野での使用を想定している。

 FIWAREは現在、非営利団体の「FIWARE Foundation」が管理する。NECはFIWARE Foundationに最上位のプラチナメンバーとして2017年3月から参加している。