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組立ラインで取り出す部品を画像で指示するプロジェクションシステム、OKIが開発

DIGITAL X 編集部
2018年9月12日

製品の組立ラインで取り出すべき部品を画像で指示するプロジェクションシステムをOKIが開発した。2018年10月から販売する。汎用的なプロジェクターを利用することで導入コストを抑えたほか、作業データに基づく業務改善を可能にする。2018年8月28日に発表した。

 OKIが開発したのは「プロジェクションアッセンブリーシステム」。作業棚に並ぶ部品が入った多数の小箱にプロジェクターで画像を映し、作業員に取り出すべき部品を指示する。同社のものづくり拠点の1つあるOKI富岡工場で構築した仕組みを2018年10月から商品として提供する。

 同様の仕掛けとしては従来、部品が入った小箱1つひとつにLEDや光電センサーを取り付け、PLC(Programmable Logic Controller)でLEDの点灯を制御する仕組みがあった。しかし、部品の配置や組立順序の変更、ラインの新設や変更などの際には、LEDの配線やPLCの設定などを変更しなければならず、時間がかかってきた。また昨今のIot(Internet of Things:モノのインターネット)対応に向けたデータ取得などに対応していなかった。

 今回開発したシステムでは、画像で指示するために、小箱にLEDを設置したり、その運用などが不要になる。映し出す画像を入れ替えればよい。組立工程の手順も、Microsoft Excelのファイルに記述しシステムに読み込ませれば設定できる。

 プロジェクターも市販の汎用品を使用することで導入コストも下げた。OKIの富岡工場では、ラインの立上げや変更、組立作業教育の負荷の低減および作業ミスの削減を実現できたうえに、設備コストを約4分の1にまでおさえられたという(図1)。

図1:プロジェクターの画像で取り出すべき部品を指示することで、LEDなどを使うシステムより導入コストを大幅に縮小した

 特に品質を確認すべきポイントなどで注意喚起するために、指示書の動画を映すディスプレーを作業棚の横に設置した(図2)。

図2:作業棚の横に設置したディスプレーに指示書の動画を映す

 IoT対応に向けては、作業結果を示すデータの記録や、作業中の手元の画像を撮影する機能を持たせた。時間ごとの生産量を目標と比較することで、作業の進み具合を確認する。作業データから生産効率が落ちている時間帯が分かれば、その時間帯の作業の様子を画像で確認することで、原因を特定できるとしている(図3)。

図3:プロジェクションとデータ活用による業務改善のイメージ

 OKIは今後、プロジェクションアッセンブリーシステムをERP(Enterprise Resource Planning)やMES(Manufacturing Execution System)などのシステムと連携させる方針だ。作業の様子を分析する機能や、作業結果について作業員にフィードバックする機能なども追加していくとしている。