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生産性を高めた金属3Dプリンター「HP Metal Jet」を米HPが開発、データから部品を製造するサービスも開始
米HPは、生産性を高めた金属3Dプリンター「HP Metal Jet」を開発すると共に、同3Dプリンターを使った部品の製造サービスを開始する。生産性は従来品に比べ最大で50倍高まるとしている。製品投入は2020年を予定する。2018年9月10日に発表した。
米HPが開発した新しい金属3Dプリンターは「HP Metal Jet」(図1)。既存の金属3Dプリンターと比べ、印刷時に金属粉末同士を密着させる「バインダー剤」を減らし運用コストを削減し、生産性を高めた。一部の先行導入企業には2020年から提供し、2021年から一般に販売する予定である。価格は39万9000ドル(約450万円:1ドル=113円換算)未満とし、ステンレススチールの部品製造から対応する。
製品販売に先行し、HP Metal Jetを使った部品製造サービス「Metal Jet Production Service」も開始する。3D設計ファイルを指定のサーバーにアップロードすれば、設計通りの金属部品をHP Metal Jetで生産して納品する。同サービスでは、最終製品として利用できる品質の部品を提供するとしている。
Metal Jet Production Serviceは2019年上半期に開始する予定。英GKN Powder Metallurgyと米ParmatechがHP Metal Jetを導入し、それぞれがサービスを提供する。HPは設計データとHP Metal Jetの互換性をチェックする。
GKN Powder Metallurgyは、粉末冶金技術を使って部品を製造するグローバル企業。年間30億個を超える部品を生産している。Metal Jet Production Serviceとは別に、2019年にはHP Metal Jetで最終製品として利用可能な部品を製造し、さまざまな業界の顧客に向けた量産を開始する予定である。
特に、ポンプシステムメーカーである独Wiloに向けた部品にHP Metal Jetを積極的に使用する。Wiloは吸引力、圧力、温度の大きな変化に耐えるポンプ用部品をHP Metal Jetで生産することも検討しているという。
自動車大手の独VolkswagenもGKN Powder Metallurgyから、HP Metal Jetで製造した部品の供給を受ける予定だ。Volkswagenは、パーソナライズしたキーホルダーやネームプレートなどの少量多品種生産にHP Metal Jetを利用する計画を立てている。将来的にはシフトノブやミラーマウントといった部品への利用も検討する。
一方のParmatechも、HP Metal Jetによる部品の量産体制の拡充を狙う。同社は金属粉末射出成形法を得意とする世界的企業であり、医療用器具や工業部品を低コストで大量生産している。
Parmatechの社長であるRob Hall氏は「HP Metal Jetを導入することで、外科手術用鉗子などの複雑な形状のパーツなど、従来の技術では製造不可能な形状の部品を製造できる」と語っている。