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会津若松での日本酒造りにドローンと5G通信を活用、KDDIが実証を開始
会津若松市の地場産業である日本酒造りに5G通信とドローンを活用する実証実験が始まった。原料米の育ち具合をドローンで確認し、もろみの熟成の様子を5G通信で伝送する。実証を担当するKDDIが2018年9月18日に発表した。
会津若松市での日本酒造りへのデジタル技術活用の実証実験の目的は2つある。1つは、日本酒の原料となる米の収穫量の最大化。LTE通信を利用して制御する「スマートドローン」を活用する。
イネの生育状況を確認し、肥料を与える量を調整するために、水田をドローンでくまなく巡回し、生育状況を遠隔地から把握できるようにする。人が水田を巡回することなく、生育状況を詳細に把握し、それに合わせて与える肥料の量を細かく調整することで収穫量の最大化を図る(図1)。
もう1つは、日本酒造りの専門家である杜氏が持つ暗黙知の継承。杜氏の引退が進む一方で、後継者不足が問題になっており、デジタル技術による継承に取り組む。
実証実験では、酒造りの工程の1つである「もろみ熟成」を対象に、熟成の様子を4Kカメラで撮影し、これを5G通信で送り、遠隔地から監視する。画像分析により、もろみ熟成に関する技術を数値化することで、形式知としての定義を目指す。
加えて、出荷した日本酒の輸送中の温度管理にも取り組む。温度を記録できる電池内蔵のRFID(ICタグ)を使って輸送中の温度を記録し、適切な温度を保てたかどうかを出荷元が確認できるようにする。
今回の実証事業は総務省から受託した「郊外において高速データ伝送やIoTサービス等を支える次世代モバイルシステムの技術的条件等に関する調査検討」事業の一環。KDDIが、野村総合研究所(NRI)と会津アクティベートアソシエーションと共同で実施する。地元の農業/酒造関係者である、会津よつば農業協同組合や福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターなどの協力も仰ぐ。