• News
  • 公共

ベラルーシ政府、仮想通貨の法的枠組みを強化しベンチャー育成や不正・犯罪対策を支援

DIGITAL X 編集部
2018年12月28日

ベラルーシ政府は、仮想通貨の流通に向けた法的な枠組みを強化し、2018年12月4日に制定した。仮想通貨関連ベンチャーの育成と、不正行為や金融犯罪の防止を支援するのが狙い。同国のIT経済特区である「Hi-Tech Park(HTP)」が2018年12月14日に発表した。

 ベラルーシ政府が新たに制定したのは、仮想通貨の法的枠組みの第2弾となる追加規則と保護措置。トークン(発行される通貨)とスマートコントラクト(契約の自動化)のための法的地位を確保。仮想通貨におけるマイニング、保有、購入、販売、配布、交換に関連する事業運営も提供する。

 今回の枠組みは4つの内容を含む。1つは免税措置。2023年まで、すべての仮想通貨取引とICO(仮想通貨の発行による資金調達)に免税措置を提供する。

 2つ目は、仮想通貨関連企業の不正行為に対処するための、マネーロンダリング防止法とKYC(Know Your Customer:顧客確認)措置の導入だ。マネーロンダリングへの関与が判明した企業は、国の当局によって直ちに業務停止処分となる。犯罪を促進した銀行や決済サービスなどの事業者には追加制裁を科す。

 3つ目は、個人データの保護に関する厳密な規則だ。EU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)と同レベルのデータ保護を保証する構造を確立する。同国で事業を運営する仮想通貨企業に求めるのは、自社サービスに関わるリスクについての顧客への警告や、新しい広告規則の遵守、顧客の安全性に影響する重要情報の開示など。特に、リスク、サイバーセキュリティ、利益相反を管理する内部統制システムの導入を求める。

 4つ目は、仮想通貨企業が満たすべき運営要件の水準の明示である。要件として挙げられるのは、受益権所有者の開示と、それらの評価要件の遵守、適格な従業員の雇用、厳しい財務安定基準の遵守、事業を実施するための技術的に安全な情報システムの使用だ。これらの基準の遵守については、大手会計事務所が広範な監査によって検証する。

 ベラルーシの経済特区であるHTPは、IT企業に有利な財務制度や法的制度を設けている。2017年にはIT企業の大部分のVAT(付加価値税:日本の消費税に近い形の税)と所得税を免除。HTPに拠点を置く企業は2017年に、前年比25%増を超える10億ポンドの収益を上げている。2018年には200社を超える企業がHTPに常駐し、IT輸出は前年比40%以上増加しているという。