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運転データに基づく自動車保険を可能にするデータ管理基盤、台湾のBiiLabsとTransIOTがブロックチェーンで開発
安全運転を続ければ保険料が安くなる「利用ベース自動車保険(UBI)」を実現するためのデータ管理基盤を、台湾のBiiLabsとTransIOTがジョイントベンチャーを設立して開発する。運転データの改ざんを防ぐためにブロックチェーン技術を使う。2019年4月11日に発表した。
自動車保険へのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の適用例として、運転状況データを取得し、その安全運転度などに応じて保険料を変える「利用ベース自動車保険(UBI)」の開発・提供が始まっている。
UBIを提供するためのデータ収集・管理基盤を台湾のベンチャー企業であるBiiLabsとTransIOTがジョイントベンチャー形式で開発する。運転データを安全に保存し改ざんを不能にするために、ブロックチェーン技術を利用する(図1)。
BiiLabsはスマートシティやエネルギー管理などのための分散型台帳技術を開発する企業。一方のTransIOTは、IoTテレマティクスに特化した企業である。両者の技術を組み合わせる。
BiiLabsとTransIOTが開発するシステムでは、ドライバーによるアクセルやブレーキの操作、走行速度などのデータは、車載式故障診断装置(OBD-II)経由で取得する。車載用デバイスとして、自動車メーカーがプレインストールする組み込み型と車両に後付けできる小型デバイスを用意する計画だ。
収集したデータは暗号化し、地理的に分散した機器群に複製・共有・同期させる。データは、P2P(ピアツーピア)型の分散型データベース「Tangle」に格納する。
UBIの保険料は、自動車を運転した時間や距離、あるいは運転の仕方などによって決まる。安全運転をするドライバーほど保険料が安くなるため、安全運転を促せる。保険会社にとっても保険金の支払い総額の減少が期待できる。
保険金請求の拠り所が、実際の走行データになる。データを請求処理システムに投入すればよいため請求処理業務の効率を高められるうえ、支払いの透明性を確保でき、保険金詐欺を防げる(図1)。ただし、そのためにはデータの正確性や改ざんがされていないことが前提になる。