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データ収集から分析まで産業用IoTのパッケージ、横河電機子会社のアムニモが提供

DIGITAL X 編集部
2019年6月12日

産業用IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に必要な基本機能をパッケージにしたサービスを、横河電機子会社のアムニモが2019年6月11日に開始した。センサーをつなぐためのデバイスから通信、運用、監視、セキュリティまでを提供する。事例に基づく構築手順を示した「IoTレシピ」も用意する。同日に発表した。

 横河電機子会社のアムニモが2019年6月11日に開始した「amnimo sense beta(略称:amnimo sense)」は、産業用IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を構築する際に必要な機能をパッケージにしたサービス。データの取得、通信、運用、監視、セキュリティまでの機能を基本サービスとして用意する(図1)。

図1:産業用IoTの基本機能のパッケージ「amnimo sense」の基本的な構成

 早期に構築できるよう、活用事例に基づき必要な機材と構築手順を紹介する「IoTレシピ」をWebサイトから提供する。既に公開しているIoTレシピには、(1)水産冷凍室や病院内の保温庫の温度を遠隔で監視する、(2)施設内のCO2濃度を検知・調整して眠気や不快感を防止する、(3)工場の部品在庫や飲食店の素材残量、ホテルのシーツ残量を可視化し補充タイミングを把握する、(4)貯水槽の残留塩素濃度を遠隔で監視する、などがある。IoTレシピは順次追加する予定である。

 パートナー企業と協業したサービスも順次、開発していく。第1弾として、ポンプ製造などを手がけるイワキと協業した「pump guard(ポンプガード)」の試験サービスの提供を開始した(図2)。

図2:パートナー企業のイワキと開発した「pump guard」は、うずまきポンプの異常動作を監視する

 pump guardは、工場やプラントにおけるうずまきポンプの異常動作を監視するための仕組みである。緊急時にはポンプを停止させることで、重大な故障を未然に防ぎダウンタイムを削減する。稼働データを常時記録しており、ポンプが故障した場合の原因分析に稼働データを活用できる。

 amnimo senseにパッケージ化されているのは、(1)エンドポイントデバイス、(2)ゲートウェイ、(3)データを蓄積・分析するためのクラウド環境、(4)セキュリティなどだ。

 エンドポイントデバイスは、センサーが取得したデータをアナログ端子で受け、無線通信でゲートウェイに送信するためのもの。アムニモが独自に開発した(写真1)。エンドポイントデバイスとゲートウェイの通信には、広域省電力の無線通信「LPWA(Low Power Wide Area)」の規格である「LoRa」を採用している。

写真1:センサーデータをゲートウェイに送るためのエンドポイントデバイス

 ゲートウェイは、データをクラウドに接続するための中継器(写真2)。クラウドとの通信には携帯無線通信の「LTE」を採用している。

写真2:エンドポイントデバイスとクラウドシステムをつなぐ中継器となるゲートウェイ

 セキュリティに関しては、ゲートウェイに対し、ユーザーごとに異なるデジタル証明書を工場でインストールしてから出荷する。ユーザーは、簡単なアクティベーションにより自動でデジタル証明書の発行を受け安全なデータ通信を確立できる。

 今後は、さまざまなデバイスやセンサーなどのハードウェアや、API(Application Programming Interface)など、サービス内容を拡充するとしている。

 amnimo senseは1カ月単位から利用できる。月額利用料金は測定点の数(エンドポイントデバイスの台数)やゲートウェイの台数、携帯無線通信のデータ容量、ユーザー数に応じて課金される。1測定点あたり1000円(税別、以下同じ)からで、たとえば30測定点、ゲートウェイ1台、1回線100MB、10ユーザーの場合、月額3万9000円になる。センサーは別途ユーザーが用意する。