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スマートホーム用デバイスの世界出荷台数は2023年に約15億6000万台弱に、米IDCが予測
スマートホーム用デバイスの出荷台数は全世界で2023年に約15億6000万台弱に達すると米調査会社のIDCが予測した。米Amazon.comと米Googleの2社の寡占市場に、米Appleと韓国サムスンが切り込むとみる。同社の日本法人が2019年4月16日に発表した。
米IDCの調査によれば、スマートホーム用デバイスの世界での出荷台数は、2019年に前年比26.9%増の8億3270万台に達する見通しで、2023年には約15億5740万台にまで伸びる(表1)。2019年から2023年までの年複利成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は16.9%になる。一般消費者の自宅に複数のデバイスが導入され、スマートホーム用製品/サービスも拡大するためだ。
カテゴリー | 2019年 | 2023年 | CAGR(2019年~2023年) | ||
---|---|---|---|---|---|
出荷台数 | 構成比 | 出荷台数 | 構成比 | ||
Home Monitoring/Security | 1億4030万 | 16.8% | 3億5170万 | 22.6% | 25.8% |
Lighting | 5690万 | 6.8% | 1億8320万 | 11.8% | 34.0% |
Others | 1億1430万 | 13.7% | 2億6940万 | 17.3% | 23.9% |
Smart Speaker | 1億4430万 | 17.3% | 2億4010万 | 15.4% | 13.6% |
Thermostat | 1880万 | 2.3% | 3750 | 2.4% | 18.8% |
Video Entertainment | 3億5810万 | 43.0% | 4億7540万 | 30.5% | 7.3% |
Total | 8億3270万 | 100.0% | 15億5740万 | 100.0% | 16.9% |
国内におけるスマートホーム用デバイスの出荷台数は2019年、前年比22.0%増の944万台に達する見通し。2018年から2023年までのCAGRは11.8%になり、2023年には約1353万台が出荷されると予測している。
メーカー別に見ると、現状は米Amazon.comと米Googleの2社の寡占状態にあるが、そこに米Appleと韓国Samsungが切り込むと予想する。AmazonとGoogleは2018年に、低価格のスマートスピーカーの投入や、複数のスマートスピーカーのセット販売、さまざまなデバイスとの組み合わせ販売によって、スマートホーム市場を勝ち抜けた。
ただ今後は、Appleも勢いを増すと予想する。iOS/macOSを搭載するデバイスの人気に加え、非Apple製品とAppleのアプリケーション/サービスが結びつくことで、Appleのエコシステムに徐々に取り込まれる一般消費者が増えるためと、エコシステムにデバイスを対応させるサードパーティーも増えるであろうからだ。
サムスンも、競争力や価値の持続継続性を持つとみられる。多くのカテゴリーに製品を拡大しており、AI(人工知能)アシスタントの「Bixby」やモバイルOS「Tizen」への投資を継続しているからである。
スマートホーム用デバイスの世界動向について、米IDC Consumer IoT Program リサーチディレクターのレイモン・リャマス氏は、「重要な動向の1つは、複数のスマートホーム用デバイスとの接点として機能する“スマートアシスタント(音声)”が家庭にどのように組み込まれるかだ。今後はアプライアンスやサーモスタット、ビデオエンターテイメントなどとも連携していくだろう」と指摘する。
国内市場の動向について、IDC日本法人でPC、携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストを務める渋谷 寛 氏は、「スマートホーム用デバイスの国内での活用は遅れている。米国とは異なり、一般消費者によるIT投資への波及や経済拡大への喚起は限定的だ。一方、法人向けのIT需要や経済への波及効果は大きい。スマートアシスタントの業務活用が進めば、家庭における需要も高まるであろう」とみている。