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工場のインフラ設備を可視化・自動化するためのAIシステム、AIEが提供

DIGITAL X 編集部
2019年7月11日

工場のインフラ設備の状態を可視化したり運転の自動化を図ったりするためのAI(人工知能)システムサービスを、AIエンジニアリング(AIE)が開始した。インフラ設備にセンサーを取り付け、生産停止期間の短縮や人災事故の防止を図る。第1弾として水処理設備を対象にしたサービスを提供する。2019年7月3日に発表した。

 AIエンジニアリング(AIE)が提供する「工場ドクター“FORS(フォース)”」は、工場の稼働に必要なインフラ設備を対象に、稼働状態の可視化や運転の自動化を図るためのプラットフォームサービス。故障時の早期復旧により生産停止期間を短縮したり、状況把握や情報伝達の遅延などによる人災事故を防いだりするのが目的だ。

 インフラ設備にセンサーを取り付け、装置の状態データを取得。そのデータをAI(人工知能)で分析・可視化することで、異常の早期発見や自動運転を可能にする(図1)。AIモデルは、提携先であるスカイディスクと共同で研究・開発した。

図1:インフラ設備のデータを収集して可視化・分析し、異常発見や自動運転を可能にする

 設備の状況をリアルタイムに表示するダッシュボード画面や、装置の故障を検知してメールやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でアラートを通知する機能、報告書の作成機能を用意する。安定稼働に必要なデータを収集し、点検などの作業工数やコストの削減、インフラ設備の最適化などを支援する。

 工場ドクター“FORS”の第1弾として、水処理設備に向けた「Suizin(水神)」を提供する。水処理設備の井戸ポンプや、各種ろ過装置、薬注装置などにセンサーを取り付け、状態を可視化する(図2)。センサーを利用することで、メーターを人が読み取る場合に発生する誤差を排除できるとする。

図2:水処理設備向け「Suizin(水神)」のダッシュボード画面

 今後は、空気や電気などのインフラ設備を対象にした「Fuzin(風神)」「Orizin(機神)」「Raizin(雷神)」の機能を順次提供していく(図3)。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介して他社システムと連携することで、工場全体の設備の稼働状況や、設計図面や設備台帳、メンテナンス情報なども統合的に管理できるようにする予定である。

図3:「工場ドクター“FORS(フォース)”」は「Fuzin(風神)」「Orizin(機神)」「Raizin(雷神)」「Suizin(水神)」の4つのサブシステムから成る

 ちなみにAIEは、食品工場などの生産/ユーティリティ設備の設計・施工・メンテナンスを手がける中島工業の100%子会社で、AI/IoT技術を使って工場のスマート化を進めるために2017年に設立された。