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工場での自動搬送ロボットを高精度で制御するための位置決めマーカー、DNPが開発

DIGITAL X 編集部
2020年5月8日

自動搬送ロボットなどを高い精度で制御するための位置の検出を可能にするマーカーを大日本印刷(DNP)が開発した。角度±1度以下の精度で位置を把握でき、工場内での自動化を図れるという。2020年5月7日に発表した。

 大日本印刷(DNP)が開発した「DXマーカ」は、1辺が40/80ミリ、厚さ0.7ミリの正方形のガラス基板に、固有のID情報をフォトリソグラフィ技術で印刷したもの(写真1の左)。パレットや倉庫の棚、建物のドアや柱、ドローンの離発着地点といった位置を特定したい場所、あるいは自動搬送機器やロボット、ドローンなど無人移動体に装着する。

写真1:ガラス製の「DXマーカ」を使って角度±1度以下の精度で位置を把握できるようにする

 DXマーカを、カメラで撮影し専用ソフトウェアで認識することで、それぞれの位置を角度±1度以下の精度で検出する。またDXマーカには、それを装着した場所や移動体を特定するためのIDデータが埋め込まれているため、移動体で搬送したモノの動きをデータ化し管理・解析することも可能になる。

 位置検出には、産業技術総合研究所(産総研)が開発した技術を採用している。同時術は人工衛星の挙動計測にも使われている。これを産総研技術移転ベンチャーであるリーグソリューションズがデザインし、DNPが製品化した。

 これまでも、たとえば自動搬送ロボットが荷物の位置を認識したり現在位置を確認したりするために、倉庫内の柱や荷物などに添付する紙製のマーカーなどが使われてきた。だが紙製のマーカーは、紙の収縮や印刷の凹凸、位置精度の低さ、汚損しやすいなどの課題があり、高精度で耐久性があり、かつ安価なマーカーが求められていた。

 DXマーカであれば、たとえばフォークリフトで荷物をトラックに積み込む際に運転者がフォークリフトの爪(フォーク)の角度を荷物の重さや大きさ、傾きなどに合わせて±1度以下の範囲で実施している微調整なども自動化できるとしている。

 現在、製造業や物流業を中心に自動化を含めたスマートファクトリーへの検討・取り組みが始まっている。そこでは自動搬送ロボや無人フォークリフト、ドローンなどの無人移動体への期待が高まっている。

 DNPは今後、物流機器メーカーと協業しDXマーカを使った自動搬送システムを検証しながら種々の無人移動体を対象に、2025年度に年間10億円の売り上げを目指す。