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再生医療等製品のバリューチェーンを統合管理するための基盤、日立が医薬品卸などとの協働で構築

DIGITAL X 編集部
2020年9月10日

細胞治療や遺伝子治療などで用いる再生医療等製品のバリューチェーンを統合的に管理するための基盤を日立製作所が医療用医薬品卸のアルフレッサなどとの共創で構築した。再生医療等製品の流通のための国内初の共通サービス基盤のポジションを目指す。2020年8月31日に発表した。

 再生医療等製品とは、細胞治療、遺伝子治療、再生医療に用いる細胞加工物において企業の責任の元で加工が施されたものを指す。厳格な品質管理と情報のトレーサビリティが求められる。

 今回、日立製作所らが構築したのは、その再生医療等製品に関する検体の個体識別と、細胞の採取・生産・輸送・投与の情報をトレースするための統合管理基盤である(図1)。

図1:再生医療等製品のバリューチェーンを統合管理する基盤の概念図

 同基盤では、再生医療等製品に関わる医療機関や製薬・物流・製造企業などのステークホルダーが、各社が持つシステムの違いに左右されることなく利用でき、それぞれの事業を高速かつ安全に進められる環境を実現したい考え。

 具体的には、ステークホルダーの状況を共有しながら、バリューチェーンにおける最適なスケジューリングの立案・変更や、受発注を一括管理できる。将来的には、各計画の実績に基づき自動的にスケジューリングできるようにする。細胞採取から投与までの全工程を見通した分析やシミュレーションもできる。

 基盤構築に当たっては、医療用医薬品卸のアルフレッサや、製薬企業、医療機関、バイオベンチャーなどと協創。ユーザーインタフェースは、医療従事者の意見を取り入れて開発した。

 基盤には、デジタルツインを使って生産工程全体の最適化を支援する「IoTコンパス」(日立製)を採用。日立は今後、運用テストを経て2021年から実運用を開始する計画である。