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発行物の校正・校閲や契約書の審査などをAI技術で省力化するクラウドサービス、大日本印刷が開始

DIGITAL X 編集部
2021年2月22日

各種発行物に関する校正・校閲や、契約書・申込書などの審査といった業務をAI(人工知能)技術を使って省力化するためのSaaS(Software as a Service)を大日本印刷(DNP)が2021年2月1日に開始した。記載内容のルールへの適合や誤字・脱字などをチェックする。同日に発表した。

 大日本印刷(DNP)の「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、各種文書の記載内容について、表記ルールへの適合や、誤字・脱字のチェックなどをAI(人工知能)技術を使って実施し、正誤などの指摘事項を表示する(図1)。内容のすべてを人の目でチェックするのではなく、AI技術によって指摘された事項を中心に人がチェックできるようになるため、校正・校閲作業の省力化と人為的ミスの低減を図れる。

図1:「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」のイメージ

 加えて、校正・校閲作業に関わる複数の部署間での回覧・承認などのワークフローを管理し、追加情報や指摘事項の入力などをオンラインで遂行できるようにする。

 DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)では、画像文字認識と自然言語処理の技術を使って各種文書をチェックする。チェック対象は大きく、(1)原稿比較と(2)レギュレーション審査の2つである(図2)。

図2:商品パッケージを対象にした適用例

 原稿比較では、Excelなどで作成した栄養成分表示などの原稿とデザイン案を比較し、AI技術が差異を判定し、その個所を表示する。

 レギュレーション審査では、表記・表現に関するルールや約款などに記載されている注意文言(ガード文言)などをAI技術を使って学習し、問題のある箇所を判定する。ロゴマークの表示方法など企業の独自ルールへの準拠や、過去の校正・校閲時の知見も学習することでチェック機能を高められるという。

 サービス開始に先立ち、サントリーコミュニケーションズの協力を得て、AI技術を使った審査サービスの開発に取り組んできた。2019年5月からは、飲料・食品メーカーを中心とした36社と合同検証を実施し、AI技術による判定精度を改善してきた。結果、実効性を確認できたとしている。

 サントリーコミュニケーションズでは、本サービスを導入することで、商品パッケージの校正作業を30%、将来的には50%程度の省力化が図れると見込んでいる。他にもすでに日清食品ホールディングスや明治安田生命保険などが採用を始めているという。

 企業などが発行する各種文書の校正・校閲作業の多くは人手に依存しているのが現状。例えば、商品パッケージの制作では、各業界が遵守すべきルールに加え、ロゴやマークの表示方法など企業独自のルールに準拠する必要がある。結果、社内外の多くの人が部門横断的に校正・校閲に携わっており、同業務の効率化や人的ミスの低減が求められている。

 DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)の利用料金は、商品パッケージ審査の場合、初期費用が400万円(税別、以下同)から、月額費用が45万円から。広告物審査の場合は初期費用が800万円から、月額費用が50万円からになる。

 DNPは、飲料・食品メーカーや金融・保険業界を中心に提供し、2023年度までに関連サービスを含め、年間30億円の売り上げを目指す。