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農業IoT「e-kakashi(イーカカシ)」のデータ分析用アプリケーション、ソフトバンクが拡充
農業IoT(Internet of Things:モノのインターネット)のためのシステムである「e-kakashi(イーカカシ)」のデータ分析用アプリケーションをソフトバンクが拡充し、2021年10月4日に発売した。農家独自の「栽培レシピ」の作成などを可能にした。同日に発表した。
ソフトバンクの「e-kakashi(イーカカシ)」は、農業IoT(Internet of Things:モノのインターネット)のためのデバイスとデータ分析用アプリケーションなどからなるサービス群。今回、サービスをリニューアルし、4種類のアプリケーションを投入すると伴に、センサーなどを拡充した。生産量や品質の向上、農作業の効率化などに向けたデータ活用を支援する。
新しいアプリケーションは、データ分析系のWebアプリケーションと、農作業者らが利用するスマートフォン用アプリケーションに大別できる。Webアプリとしては、(1)データを一元管理・分析する「e-kakashi Analytics」と(2)農家独自の「栽培レシピ」を作成するための「e-kakashi Recipe Studio」の2つだ(図2)。
e-kakashi Analyticsでは、複数デバイスから収集した環境データや作業記録を一元管理したうえで、農作業者別やほ場の別に、作業状況や異常値などを確認できるようにする。
e-kakashi Recipe Studioでは、収集した環境データや作業記録から、農家や事業者独自の栽培方法をまとめた栽培レシピの作成を可能にする。温度と湿度を組み合わせた条件設定にも対応する。栽培ノウハウを電子マニュアル化できるため、栽培技術の継承にも役立つとする。
一方のスマホアプリは、(3)栽培ナビゲーションの「e-kakashi Navi」と(4)作業スケジュール管理の「e-kakashi Note」の2つである。
e-kakashi Naviでは、ほ場の環境データを表示したり、環境データの分析結果から導いた栽培方法が提示される(図3)。栽培環境の変化をリアルタイムに検知し、病害虫の発生リスクや収穫時期などを通知する。栽培レシピに基づく作業指示もできる。
e-kakashi Noteは、灌水や施肥などの作業スケジュールを管理するためのアプリ。作業計画に沿って、作業のリスト化や作業予定日の確認ができる。作業状況は複数人で共有でき、作業の漏れや重複を防げる。生育調査や生育段階の記録にも利用できる。
センサー関連では、日射などから保護する放射シールド付きの温湿度センサーと水深センサーを追加した。これまでは、温湿度や日射量、CO2濃度、土壌温度、土壌体積含水率、土壌EC(電気伝導度)などのセンサーを提供してきた。
センサーデータをクラウドに送信するためのゲートウェイ端末(東京エレクトロン デバイス製)も用意した。1台に最大4個のセンサーを接続できる。設置場所の自由度を高めるために、太陽電池パネルとニッケル水素電池を搭載した。外部電源なしに動作し、露地栽培にも使用できる。
e-kakashiの新料金は、クラウドサービス利用料が1契約当たり月額3980円(税別、以下同)、ネットワーク接続料が端末1台当たり月額980円(最長4カ月の農閑期は不要)。アプリケーションはe-kakashi Analyticsのみが有料で月額1万円(100フィールドまで)である。
ゲートウェイ端末は1台9万9800円、センサーは種類によって異なる。例えば簡易版の温湿度センサーは6500円だ。