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日本企業の3分の1はDXプロジェクトの目標未達、米ABBYYのグローバル調査
デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みにおいて日本企業は、多くの課題と問題を抱え、プロジェクトを立ち上げても約3分の1は目標を達成できていない--。こんな調査結果をプロセスマイニングツールなどを手掛ける米ABBYYの日本法人が2021年10月4日に発表した。英米日仏独の調査対象国の間では“最悪”だという。
米ABBYYの日本法人が発表したのは、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトの影響と、ビジネスが直面している障壁、コロナ禍において自動化技術が果たす役割に関する聞き取り調査の結果。日本のほか、英米仏独の従業員1000人以上の企業のIT分野の意思決定者1220人を対象に、米ABBYYから委託された英Sapio Researchが2021年4月〜6月に実施した。
同調査結果によれば、「DXの準備が整っている」と感じている企業はグローバル平均64%に対し、日本企業は42%だった。日本企業の52%は自動化技術を持ちながらも「多くの課題と困難を抱えている」としており、調査対象国の中で最も高かった。
DXプロジェクトにおいて日本企業の97%が「何らかの問題を経験している」とし、32%が「DXプロジェクトの方向性を変更する必要がある」とした。その原因に新型コロナウイルス感染症と在宅勤務を挙げる回答者は49%である。
また日本企業の31%は「DXの期間中に、ROI(投資対効果)や他の目標を達成できていない」とし調査対象国の中で“最悪”の結果だった。グローバル平均は22%、英仏では13%にとどまっている。日本企業の42%は、プロジェクトの実施が「概念実証(PoC)に一致しなかった」とも考えている。
これらの問題の原因として、日本企業の39%が「組織内に必要なスキルを確保できない」ことを挙げる。「従来のシステムをアップグレードするのが難しい」とする企業が32%ある。29%が「どの技術を使用すべきか分からない」、28%が「どこから始めていいか分からない」としている。
日本企業のDXへの取り組みが滞っている理由の1つとして、最高責任者レベルの経営幹部(CxO)と中間管理職(現場マネジャー)の間に“溝”があることが浮き彫りになった。日本のCxOの67%が「自社が十分にデジタル化できる」と考えているのに対し、同様に考えている中間管理職は37%だった。「DXを阻む要素が多い」とする中間管理職はCxOの2倍に上る。
組織をどうデジタル化するかについても、日本の中間管理職はCxOより悲観的といえる。「新しい技術を導入しても、まだ課題に直面している」と感じているCxOが33%なのに対し、中間管理職は57%に上る。デジタル化に対し日本企業の70%が「50万~500万円の予算がすでに費やされた」とし、50%は「2022年も予算が増え続ける」と予想している。
CxOと中間管理職の認識の差の主な原因について、ABBYYは、企業内のビジネスプロセスとタスクが明確に可視化あるいは分析されていないことにあるとし、DXのボトルネックを見つけ進捗をモニタリングする手段としてプロセスマイニングが普及しつつあるという。今回の調査では、プロセスマイニングを使い始めている日本企業は32%で、利用する計画がある企業が42%だった。