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伊勢海老の脱皮を検知するAIシステム、EBILABが実用化に向け実証実験

DIGITAL X 編集部
2021年10月14日

伊勢海老の脱皮を映像解析によって検知するシステムを飲食店向けクラウドサービスを手掛けるEBILAB(エビラボ)が開発し、実用化に向けた実証実験を開始した。職人の経験と目視に頼っていた脱皮をAI技術で見極め、風味の良い食材としての提供を可能にする。2021年10月7日に発表した。

 EBILAB(エビラボ)は、伊勢の老舗食堂発で飲食店向けクラウドサービスを開発・提供する企業。このほど、伊勢海老の映像から脱皮を検知するシステムを開発し、その実証実験を開始した(図1)。実証は、三重県伊勢市にある伊勢海老料理店「倭庵黒石(やまとあんくろいし)」で実施する。

図1:伊勢海老の脱皮検知システムの検知の様子

 伊勢海老の脱皮を検知するのは、脱皮直後は皮が柔らかく、エビの香りの大部分を含む皮ごと食べられるため。その風味を最大限に楽しめるという。

 ただ、伊勢海老の脱皮には特定の周期が存在せず、生育環境や個体差に大きく左右される。これまでは職人が経験に基づき脱皮を予測し、目視で確認してきた。しかし夜間を含め水槽を見守ることは職人への大きな負担になっている。

 脱皮検知システムでは、水槽を暗視カメラで常時監視し、脱皮を検知するとモバイル端末に通知する(図2)。職人の負担を軽減しながら、状態の良い食材を提供できる機会を増やせるとする。

図2:EBILABが開発した伊勢海老の脱皮検知システムの構成

 脱皮検知のための映像解析には「Azure Cognitive Services」(米マイクロソフト製)を使用し、開発コストとランニングコストを抑えた。同システムは伊勢海老以外への応用できるとしている。

※発表内容に訂正があったため、本文を一部修正しました。