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ライフサイエンスに関する研究データを一元管理できるクラウドサービス、オリンパスが開始

DIGITAL X 編集部
2021年10月28日

ライフサイエンス分野の研究に取り組む大学や研究所の研究者を対象にしたクラウドサービスをオリンパスが2021年10月20日に開始した。対応機器から取得した研究データや実験条件に加え、研究過程で議論したチャットの履歴も一元管理することで研究者のワークフローを支援する。同日に発表した。

 オリンパスの「Olympus Life Science Solution Cloud(OLSC)」は、ライフサイエンスの研究に最適化したクラウドサービス(図1)。研究に関連するすべてのデータを一元管理し、実験条件など目的に応じた検索を容易になどで、研究業務の効率向上を支援する。

図1:「Olympus Life Science Solution Cloud(OLSC)」の利用イメージ

 OLSCが一元管理するのは、対応機器から取得した研究データや実験条件、考察をまとめたノート、研究過程で議論したチャットの履歴など。対応機器で取得した研究データは、サンプルの状態や撮影条件といった実験条件を含めて自動的にクラウドへアップロードされる。研究データと関連する考察や実験条件、参考資料は研究単位ごとに管理できる。

図1:「Olympus Life Science Solution Cloud(OLSC)」の画面例。考察をまとめたノート(左)に添付された画像を選択すると、元の研究データ(右)にリンクする

 クラウド上で管理する研究記録は、サンプルや使用した機器、任意に設定できるタグなどの情報を元に検索できる。自身のデータだけでなくチームメンバーのデータも参照できるため、類似する実験データの再利用や、新たな実験の条件設定の参考にするなど、過去の研究記録を有効に活用できる。

 考察や実験の条件などは、資料作成ツール「Note」でまとめる。Noteはチャット機能を持ち、確認の依頼やフィードバックのコメントなど、チームメンバーなどと議論した内容も資料と関連付けて記録できる。検討過程を可視化することで、課題の方向付けや議論の効率が高まるとしている。

 Noteは、インターネット環境からアクセスできるため、施設間での情報共有や在宅ワークなどにも対応できる。

 オリンパスによれば、ライフサイエンスを研究する大学や研究所においては、研究データの適切な管理が、研究を効率的に進めるためだけでなく、研究結果の透明性を担保するうえでも非常に重要だ。

 一方で、観察機器の高画質化・多機能化に伴い管理すべき研究データは年々増加している。しかし、管理方法は研究者に依存しており、データ管理の煩雑さや過去の研究結果の検索性の低さなどから、研究データを資産として活用し切れていない。

 OLSCの利用料金は現在、モニター募集キャンペーン中のため、2022年3月末までに申し込めば2022年9月末まで無償で全機能を利用できる。