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植物由来の飲用水の取引基盤をブロックチェーン技術で構築、富士通が英企業向けに

DIGITAL X 編集部
2021年12月27日

植物由来の飲用水を取引するためのプラットフォームを富士通が、同飲料水を製造・販売する英国企業向けに構築する。製造から消費までのトレーサビリティーを確立するためにブロックチェーン技術を活用する。2021年11月18日に発表した。

 富士通が構築するのは、植物由来の飲用水「Botanical Water」を取引するためのプラットフォームとなる「Botanical Water Exchange(BWX)」。同飲料水の精製技術を持つ英Botanical Water Technologies(BWT)に向けたもので、2022年4月から運用を始め、Botanical Waterの取引市場を立ち上げる予定だ(図1)。

図1:植物由来の飲用水「Botanical Water」の取引基盤となる「Botanical Water Exchange(BWX)」の概要

 Botanical Waterは、野菜や果物を圧縮する際に発生する水分を回収し浄化・精製するもの。濃縮ジュースの工場や、サトウキビを加工する砂糖工場、アルコール蒸留所などがBWTの技術・設備を導入すれば、従来廃棄してきた水を再利用可能な水として循環的に利用したり、飲用水として販売したりが可能になる。

 BWXは、そのための取引基盤。Botanical Waterの精製から販売・購入、配送、利用までを対象にしたトレーサビリティを確保するために、ブロックチェーン技術を使ったサービス「FUJITSU Track and Trust」を利用する。水源の出どころや品質、輸送経路などの透明性を担保することで、安全な水取引を可能にしたい考え。

 付加機能として、ダイナミックプライシングや輸送とサプライチェーンの最適化などを用意する。需給に応じて価格を変動させたり、最も近い工場から購入することで輸送コストの削減や環境負荷の軽減を図ったりが可能になる。

 ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)経営への対応策として「ウォータークレジット」も販売する。企業が消費した水の量と同量の水を特定非営利活動法人「Botanical Water Foundation」を通じて寄付できるようにすることで、経営姿勢を市場に訴えられるとしている。

 ウォータークレジットでは例えば、事業水を大量に使用している都市部の大企業が、水不足の地域に近い食品工場に資金を提供することで、その食品工場から近隣地域に清潔な飲用水を提供できるようになる。