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従業員の9割が顧客対応に必要な文書の検索に時間を消費、米ABBYの調査

DIGITAL X 編集部
2021年12月27日

顧客対応に必要な文書の検索に時間を費やしているとする従業員が9割以上--。こんな結果が文書を中心としたプロセス管理ツールなどを提供する米ABBYYの調査から浮かんできた。その解決策にAI(人工知能)を上げる傾向は日本は海外より低い。日本法人のABBYYジャパンが2021年11月17日に発表した。

 文書を中心としたプロセス管理ツールなどを提供する米ABBYYが実施したのは、従業員500人以上の企業で働く人を対象に、文書内のデータにアクセスする際の問題や影響、自動化技術などについての聞き取り調査。Sapio Researchに委託し、2021年9月から10月に実施した。英国、米国、フランス、ドイツ、日本の5カ国から5025人が回答した。

 同調査によれば、文書の扱いにおける課題感はグローバルに、ほぼ共通だ。「顧客対応に必要な情報を得るために文書を探し出す時間を使っている」との日本企業の回答は90%(グローバルでは92%。以下同)だった。ここでいう文書には、PDFやExcelの表計算シート、電子メール、画像、テキストメッセージ、チャットボットとの会話などが含まれる。

 「文書内のデータにアクセスしにくいことが仕事の妨げになっている」との回答も65%(61%)あった。必要な文書を探し出すために「週平均で丸1日分の生産性を失っている」との回答が19%(24%)ある。

 文書内のデータにアクセスできないことによる不都合としては、「ビジネスプロセスが遅れる」(日本38%、グローバル48%。以下同)、「手作業が増加する」(38%、34%)、「業務ミスの発生」(28%、31%)、「ビジネス上の判断にミスが生じる」(22%、19%)、「質の低いユーザーエクスペリエンス」(13%、20%)などが挙がる。

 これら課題の解決策として文書を対象にしたAI(人工知能)技術の適用がある。だが、AIへの期待は総じてグローバルより日本のほうが低い傾向がみられる。「文書AIが、この問題の解決になる」と回答は、グローバルの32%に対し、日本は28%だ。

 具体的に「データを理解するAIを搭載したソフトウェアが業務の負担を軽減する」とするのが、グローバルの52%に対し日本は42%。「AIがあればもっと充実したクリエイティブな仕事に集中できるとともに、データを手動で入力する負担が軽減される」との回答も、グローバルの41%に対し日本は30%である。

 AI活用により「顧客への対応がよりスムーズになる」と回答する割合も、グローバルの31%に対し、日本は25%。さらに「ユーザーエクスペリエンスも改善する」と考える割合も、グローバルの32%に対し日本は21%である。「スピーディーで効果的な意志決定に役立つ」とする回答においては、グローバルの36%に対し39%と日本が若干上回った。

 近年はUX(User Experience:顧客体験)の重要性が強く指摘されている。顧客との良好な関係構築に向けては、回答内容を示す文書へのアクセス性などバックヤードでの操作環境や業務プロセスなどの整備が不可欠だと言えそうだ。