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アプリケーションにAI機能を付加するためのサービス群、米Oracleが発表

DIGITAL X 編集部
2021年12月29日

クラウド上で動作するアプリケーションにAI(人工知能)機能を付加するためのサービス群を、米Oracleが2021年11月3日(現地時間)に発表した。テキスト分析や音声・画像認識、異常検出、時系列予測などAI機能を用意する。予め学習済みのAIモデルも用意する。

 米Oracleの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)AI」は、同社のクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」を対象にしたフルマネージドのAI(人工知能)機能のサービス群。クラウド上で動作しているアプリケーションに対し、AI機能を追加できる。ビジネス向けデータに対して事前学習したモデルを用意し、早期適用を支援する。

 OCI AIが提供するAIサービスは、(1)テキスト分析の「OCI Language」、(2)音声認識の「OCI Speech」、(3)画像認識の「OCI Vision」、(4)異常検出の「OCI Anomaly Detection」、(5)時系列予測の「OCI Forecasting」、(6)データへのラベル付けの「OCI Data Labeling」の6つ。

 OCI Languageでは、感情分析やキーフレーズの抽出、テキストの分類、固有表現の抽出などができる。OCI Speechでは、音声データをリアルタイムでテキストに変換する。数千人のネイティブ/非ネイティブ言語話者を対象に学習したモデルを用意する。

 OCI Visionでは、画像認識による異常検出や、書式からのテキスト抽出、画像内の品目へのタグ付けによる製品数のカウントなどができる。各種業界や利用企業に固有の事例にモデルを拡張できる。

 OCI Anomaly Detectionは、不正検出や、機器の故障予測、障害予測などに使える。予兆となる不規則性に対し早期に目印を付けられるため、解決までの時間を短くし、業務停止を減らせるとする。原子炉の健全性監視など高度な安全性要件を充足できる「MSET2アルゴリズム」を基に構築されている。

 OCI Forecastingは、機械学習と統計アルゴリズムによる時系列予測を可能にする。製品需要や収益、リソース要件などについて、信頼区間と説明可能性を有した予測ができる。

 OCI Data Labelingは、AIモデルの学習に必要なラベル付きデータセットの構築を支援する。データの組み立てや、データセットの作成と閲覧、データレコードへのラベル適用のためのユーザーインタフェースや公開API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を用意する。

 OCI AIは既に企業での利用が始まっている。例えば、医学・生物学研究機関の豪Children's Medical Research Institute(CMRI)は、小児がんの治療研究において、治療法の違いによる腫瘍/細胞への影響を明らかにするために、顕微鏡画像にラベル付けしたり、各種の細胞の検出プロセスを自動化したりするのにOCI AIを利用している。

 運送会社の印SS Globalでは、車両や貨物、運転手に加え、交通量などの環境条件からデータを収集しリアルタイムで異常を検出/特定するために利用している。OCI AIが多変量な複合データセットの異常を特定できることなどを評価したとする。

 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を手がける独Bosch Service Solutionsのブラジル支社では、コンタクトセンターのチャットボットに適用し、顧客とのポルトガル語での会話や相互のやり取りの簡素化を実現しているという。