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交差点の様子を4K映像からリアルタイムに分析・把握する実証実験、NECが実施

DIGITAL X 編集部
2022年4月12日

交差点周辺の交通状況や事故の発生などを4K映像を使ってリアルタイムに分析・把握する仕組みの実証実験をNECが秋田市と東京都新宿区の2か所で実施した。4Kカメラで撮影した映像を5G(第5世代移動通信システム)を使って送信し、5Gの基地局近くに置いたサーバーで処理する。2022年1月6日に発表した。

 NECが実施したのは、交差点周辺における交通状況の測定やインシデントの検知に4K映像を利用する仕組みの実証実験(図1)。秋田市大町4丁目地内の交差点では2022年1月6日から、東京都新宿区の新宿副都心四号線入口交差点で1月24日から、それぞれ開始し、3月15日まで続けた。

 実証のための仕組みとしては、交差点周辺に4Kカメラを設置し、その映像を5G(第5世代移動通信システム)を使って収集。基地局近くにサーバーを置きAI(人工知能)技術で画像を処理するエッジコンピューティング環境を構築した。

図1:4K映像から交差点の交通状況を測定したりインシデントを検知したりする

 この仕組みで検証したのは、(1)交通状況の測定、(2)インシデント(事故を招く事態)の検知、(3)プライバシー保護の3点。交通状況の測定では、4K画像から車や歩行者の位置と速度、進行方向を測定した(図2)。将来的には、歩車分離式交差点における交通効率の向上や、自動運転車を含めた走行中車両に対する注意喚起への応用を想定する。測定には、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が研究開発を進める「交通流解析アプリケーション」を使った。

図2:交差点の状況として、車や歩行者の位置・速度・進行方向を測定する

 インシデントの検知では、交差点付近での人の倒れ込みや害獣の侵入を検知した(図3)。将来的には、街の安全性向上や地域特性に合わせた都市マネジメントへの応用を想定する。「オンデマンド行動検出」技術を使い映像から類似行動を見つけ出した。

図3:人の倒れ込みや熊などの害獣の侵入など事故につながるインシデントを映像から検知する

 これら映像データの分析では、映り込んだ人の顔を覆い隠す技術を使いプライバシーを保護したとする。

 今回の実験は、内閣府の事業「令和3年度 交通信号機を活用した第5世代移動通信システムネットワークの整備に向けた調査検討」としてNECが実施した。