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過去の事例データから改善策を立案するためのAI技術、NECが開発
過去の事例データに基づく施策の立案を支援するためのAI(人工知能)技術をNECが開発した。将来の予測と、その要因のほか、具体的な改善条件をルールの形で提示する。製造業での製品不良要因の事前特定や、小売業での顧客の購買行動分析などに利用できるという。2022年2月25日に発表した。
NECが開発した「ルール発見型推論技術」は、過去の事例データに基づいて新規施策の立案を支援するためのAI(人工知能)技術。将来の予測と、その予測結果をもたらす要因のほか、具体的な改善条件を提示することで専門家が施策を立案できるようにする(図1)。各種業界で進む人手不足や技術者の高齢化への対処策になるとする。
ルール発見型推論技術では、過去事例を正解データとして学習し、「どの要因が、どのような条件のとき、何が起きるか」といったルールを導き出し、専門家が理解しやすい形で表現する(図1)。具体的には「もし 温度>100 かつ 圧力>20 のとき 異常発生」といった形式だ。経験を通じた無意識での立案や、専門家の常識の範囲での立案に対し、常識の範囲外にある新たな知見を導き出せるとしている。過去の事例をたどって個々のルールが正しいことの検証もできる。
ルール発見型推論技術の利用例として、(1)製造業における製品不良の要因の分析、(2)小売業における顧客の購買行動の分析における技術検証を挙げる。
製品不良の要因分析では、原材料の成分配合や処理装置の設定など大量の要因について、欠陥品に影響する要因を特定できる。製品不良が発生したデータと発生しなかったデータを正解として学習させる。例えば「材料の温度が100度より高く、かつ設備の圧力が20hPa(ヘクトパスカル)より高いとき、80%の確率で故障する」といった複合的な要因を見いだせるとする(図2)。
小売業における購買行動分析では、顧客の購買履歴や店舗施策データなどを元に、新規顧客が優良顧客に変化するきっかけとなる条件を提示する。例えば、「商品Aの購入数が10点より多く、かつ来店回数が50回より多いとき、90%の確率で商品Bを購入する」などである。
ルールの提示に向けては、各ルールに優先順位を付け、並列計算技術を応用すれば、より少ない数の、より高精度なルールを、より少ない計算量で導き出せるとする。オープンデータを用いた実験では、事例全体をカバーするために、従来手法では50個近いルールが必要だったのに対し、十数個のルールで達成できることを確認したとしている。