• News
  • 医療・健康

個人の健康データなどを扱うヘルスケア領域の情報銀行サービス、DNPが開始

DIGITAL X 編集部
2022年7月8日

個人のヘルスケア関連データを元に健康に関する情報や商品/サービス情報などを提供するための情報銀行サービスを、大日本印刷(DNP)が2022年4月に開始した。スマートフォン用アプリケーションを使って取得したヘルスケア関連データに対し、個々人の利用許可を得たうえで企業がマーケティング活動などに利用できるようにする。2022年4月6日に発表した。

 大日本印刷(DNP)の「DNP健康データ利活用サービス FitStats(フィットスタッツ)」は、個人情報を本人の同意を得たうえで企業などが利用する情報銀行のヘルスケア版(図1)。スマートフォン用アプリケーションを消費者に無償提供し、その利用により得られるヘルスケア関連データを企業がマーケティング活動などに利用できるようにする。DNPは初年度50万人、2023年度内に100万人以上の利用者獲得を目指すとしている。

図1:「FitStats」は、顧客のヘルスケアデータなどに合わせて企業が商品やサービスなどの情報を配信できる

 FitStatsで企業が利用できるのは、食事・睡眠・運動・メンタルなどに関するヘルスケアデータと、顧客の属性情報や生活習慣、趣味・趣向、余暇の過ごし方など108項目からなるパーソナルデータ。それぞれについて個々人が、どの企業に対してなら利用を許可するかを事前に設定しており、許可された個人の許可されたデータを、個人情報保護法などを守りながら利用できる。

 利用企業には管理用サイトを用意する(図2)。企業は、同サイト上でデータを分析したり、健康を促す情報や自社の商品/サービス情報を配信したりができる。アンケート機能を使っった顧客のニーズの掘り下げも可能だという。

図2:企業向け管理サイトの画面例。ダッシュボードでデータ分布を可視化している

 パーソナルデータの収集ツールになるのが、ヘルスケア/フィットネス用のスマートフォン用アプリケーション「FiNC」(FiNC Technologies製)だ。利用者は、自身の属性や趣味・趣向に関するデータ、食事・睡眠・運動などに関するライフログデータをFitStatsに登録する。

 ライフログデータに基づいて個々人の健康状態を食事・運動・睡眠・カラダ・メンタルの5項目で数値化(スコアリング)する機能を持つ。これら5項目について専門家が監修した「プログラム(ミッション)」を配信することで、利用者の健康増進を支援する(図3)。

図3:健康増進につながるプログラムを提供し、継続的な利用をうながす

 データを、どの企業に提供するかは利用者が指定する。指定した企業のみがデータを分析でき、お薦め情報なども指定した企業からのみ配信される。例えば食品メーカーを選べば、同社が薦める健康食品などが提案されるようになる。

 利用者には、スコアリング結果やオファーの閲覧などによってFitStats独自のポイントを提供する。ポイントは種々のクーポンや特典と交換できる。健康増進策とポイントの提供により、継続的な利用につなげる。

 パーソナルデータを提供することへの不安を解消できるよう、FitStatsが扱うすべてのパーソナルデータは、日本国内にあるサーバー環境で保管・運用する。総務省と経済産業省による「情報信託機能の認定に係る指針」を元に日本IT団体連盟(IT連)が定めた「情報銀行認定基準」に則して管理・運用する。

 FitStatsの利用料金は月額基本料が30万円(税別)。これにサービス利用に応じた従量課金が発生する。スマホアプリの利用者には料金は発生しない。