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建設機械の遠隔操縦や自動化を後付けで可能にするサービス、NTT Comが提供開始

DIGITAL X 編集部
2024年6月28日

既存の建設機械の遠隔操縦や自動化を後付けで可能にするサービスをNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が2024年6月6日に開始した。ARAV(アラヴ)製の遠隔操縦システムと種々の通信環境を組み合わせて提供する。同日に発表した。

 NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の「遠隔操縦/自動化ソリューション」は、既存の建設機械を対象に遠隔操縦や自動化を可能にするサービス(図1)。建機の遠隔操縦システムを手掛けるARAV(アラヴ)の仕組みに、利用環境に合わせた通信環境を組み合わせて提供する。遠隔操縦ができる建機は建機メーカーが開発・提供しているが、必要な機能を後付けにすることで費用を抑えられるという。

図1:NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の「遠隔操縦/自動化ソリューション」の提供範囲

 遠隔操縦/自動化ソリューションは、遠隔制御の仕組みと通信環境からなっている。前者には、ARAVの建機遠隔操縦システム「Model V」を使う。建機にアタッチメントを後付けし、遠隔にある操作席から制御信号を送信し操作する。

 通信環境としては、5G(第5世代移動通信システム)や固定回線のほか、衛星通信サービス「Starlink Business」(米SpaceX製)を提供する。通信範囲を広げるためのメッシュ型Wi-Fi環境を構築する「PicoCELA」(PicoCELA製)や、伝送の低遅延化を図るためのソフトウェア開発キット「Zao-SDK」(ソリトンシステムズ製)も用意する。

 これらの通信環境を組み合わせることで、通信環境の構築が困難なエリアでも、現場全体をカバーする通信環境が整備でき、建機の遠隔操縦が可能になるとしている。

 NTT ComとARAVは今後、建機の遠隔操縦が困難だった現場への導入拡大に向けて、現場ごとの課題に合わせた「Model V」のカスタマイズや周辺環境の組み合わせていくほか、製造・物流など建機以外の車両や重機にも対応していく。

 両社によれば、人手不足や安全対策のために建機の遠隔操縦や自動化が注目されているものの、実際の導入においては、遠隔操縦に対応した建機の新規購入と通信環境の構築の2点がハードルになるケースが多い。