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構造的課題を抱える製造業のAI技術活用は4割近くが未定、キャディの調査
製造業におけるAI(人工知能)技術活用は4割近くが未定以下--。こんな調査結果を製造業向けデータ活用基盤を提供するキャディが2025年7月23日に発表した。「本番環境で既に活用中」との回答は約1割に留まった。
製造業向けデータ活用基盤を提供するキャディの『製造業のAI活用の課題と展望』は製造業で働く1227人を対象にした調査。AI(人工知能)技術の活用度について「本番環境で既に活用中」との回答は約1割に留まった(図1)。逆に「全く検討していない」の16.0%と「検討中だが未定」の19.4%を合わせると4割近くになり、日本の製造業におけるAI活用率の低さが浮き彫りになった。
ただ、AI技術の活用・導入に向けては、自社の経験・ノウハウ・データとAI技術を組み合わせることについて「非常に重視している」が8.6%、「重視している」が31.4%あり、両者を合わせれば40.0%が重視していることになる(図2)。「重視していない」と「全く重視していない」の合計は12.5%だった。
同調査によれば、日本の製造業が直面している最も重要な課題としては「人材不足・技能継承問題」が46.9%と圧倒的に高い(図3)。それに「原材料・エネルギーコスト高騰」(28.2%)と「生産設備の老朽化・投資不足」(19.8%)が続き、構造的な負担が企業成長の足かせになっている。
「非効率だ」と感じる業務プロセスとしては「在庫・倉庫・出荷管理」と「生産現場の段取り替え・セットアップ」「月次レポート・経理/原価計算」が、それぞれ約2割で並んだ。
そうした中で製造業が成長するために有効な手段としては「高付加価値/先端素材・製品開発」が14.1%でトップだった(図4)。次いで「人材教育・社内リスキリング」が12.0%だった。
AI技術を導入・活用すれば最も大きな価値を生むと思う領域としては、「コスト最適化・業務効率化」との回答が約3割あった。「現場オペレーションの自動化・省人化」(26.6%)と「品質向上・不良削減」(23.0%)が続く。
活用率は低かったもののAI技術を活用・導入している領域としては47.6%が「データ統合・活用」とした(図5)。「品質・リスク管理」と「オペレーション効率化」が27.3%で並ぶ。AI技術の活用・導入を予定する領域としては「人材育成・技能継承」(23.4%)と「オペレーション効率化」(23.4%)「品質・リスク管理」(22.8%)がトップ3になった。
AI技術を活用する際の最大の課題では「AI人材・スキル不足」が27.3%で1位になった(図6)。2位は「AIにいれるためのデータ収集・整備不足」の13.9%で、大きな開きがある。「法規制・セキュリティ懸念」も11.3%が選択した。