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鉄道事業者における電力使用量の分析サービス、日立製作所が開始

DIGITAL X 編集部
2025年9月2日

鉄道事業者の電力使用状況を分析するためのサービスを日立製作所が2025年8月28日に開始した。車両単位の電力使用量なども分析し、環境負荷を抑えつつ電力使用量も減らせる電力運用を支援する。同日に発表した。

 日立製作所の「鉄道電力分析サービス」は、鉄道事業者におけるエネルギーマネジメントを支援するためのサービス。電力使用データの分析とシミュレーションにより、環境負荷低減とコスト削減を両立につながる運用策を導き出す。

図1:日立製作所の「鉄道電力分析サービス」は車両などの電力消費量を分析し、ダイヤや運転状況などの改善策を導き出す

 鉄道電力分析サービスが分析対象にするのは、設備情報や運行実績、運転記録、送電実績などの現場データ。独自の「鉄道システム統合シミュレーター」により、車両や信号、運行管理、電力などのための設備の連携を考慮しながら、鉄道システム全体をシミュレーションする。運転記録データが限られている場合は、運行ダイヤなど車両以外から得られる運用実績データに基づくシミュレーションにより不足データを補完できるという。

 分析結果からダイヤや運転、電力設備などに関する改善策を提案する。複数の鉄道事業者による試験導入では、各車両の消費電力を分析し、電力消費のピーク時に発生する瞬時最大電力と、全体の消費電力量の削減に有効性を確認したとしている。

 また電車が停止・減速する際に生まれる電力が消費や貯蔵されずにブレーキの制動力が失われる「回生失効」の分析では、回生失効の発生を約70%削減できたという。

 今後は、分析環境の高度化や既存システムと連携した運用計画の立案、状況に応じたエネルギーのリアルタイム制御といった機能を拡充する計画だ。

 日立製作所によれば、鉄道業界では気候変動への対応が急務な一方で、エネルギー価格の高騰など輸送コストの増加も課題になっている。環境負荷を低減しつつ経済的な持続可能性を高めるには、電力消費における運用改善が必要になっている。