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建物の平面図から記載の文字情報や寸法などを抽出する技術、テクトムが開発
建築用の平面図から、そこに記載されている建物に関するデータをAI(人工知能)技術で抽出する技術を、建築向けAIソフトウェアを手掛けるテクトムが開発した。同社の設計用基盤の1機能として提供する。2025年10月17日に発表した。
テクトムが開発した「平面図解析技術」は、建物の平面図から関連情報を抽出するための技術。図面に記載されている室名や仕様、建具記号、数量といった文字・数値情報のほか、線や寸法・配置・面積などの形状情報、部屋の配置や用途の分布、面積効率などを抽出する(図1)。縮尺が異なる図面や、室名などが空間をまたいでいたり、開口や扉で途切れたりしていも認識できるとする。図面のスキャン歪みや解像度不足、かすれ、手書きでの修正、設計事務所ごとの作図ルールにも対応するという。
平面図解析技術は、同社の建築設計用基盤「Tektome Platform」の1機能として提供する(図2)。抽出したデータは同社のナレッジ管理ツール「KnowledgeBuilder」で管理し、設計事例の検索や設計傾向の把握、自動設計などを可能にする。建築設計要件管理ツール「ReqManager」や建築設計要件確認ツール「SmartCheck」を使えば、法制度や要求仕様への適合を確認できるという。これらにより、設計計画の効率化や統計データに基づく意思決定、設計レビューの省力化、積算の自動化などにつなげたい考えだ。
今後は、断面図や立面図、設備図などにも対応できるようにする。将来的には、BIM(Building Information Modeling:建物情報モデリング)データへの応用を視野に、設計から施工・維持管理までの各プロセスへの対応を進める。
テクトムによると建設業界では、平面図の解析とデータ化が長年の課題になっている。平面図は、空間構成や動線計画、機能配置など建築の根幹を規定する重要な図面だが、AI技術を適用しようとすると、複雑な寸法線や、空間をまたいだ注記の干渉、スキャン時の歪みや手書き修正などで誤認識が生じやすい。建具の特殊記号や組織・担当者ごとの作図ルールの違いも解析精度を低下させる。

