• News
  • 共通

ITベンダーの9割以上が要件定義の属人化を実感、ROUTE06の調査

DIGITAL X 編集部
2025年12月26日

「ITベンダーの9割以上が要件定義の属人化を実感し、8割以上が半数以上のプロジェクトで手戻りが発生している」−−。こんな調査結果を、開発関連のAI(人工知能)技術のスタートアップであるROUTE06が2025年11月14日に発表している。開発現場では依然として人のスキルや勘に頼る状況にあるようだ。

 ROUTE06は、AI(人工知能)技術を使った要件定義ツールを「Acsim(アクシム)」などを提供するスタートアップ。同社が実施した『要件定義の課題とAI活用実態調査』は、上場システムインテグレーターおよびITベンダーで要件定義に関わっている部長職を対象に要件定義の実態を聞いたもの。有効回答数は325件である。

 同調査によれば「プロジェクトにおける要件定義が属人化していると思うか」との問に対し「とても感じる」が53.2%、「やや感じる」が40.6%だった。両者を合わせれば93.8%が属人化を実感していることになる(図1)。

図1:プロジェクトにいて要件定義が属人化していると感じる割合

 要件定義における課題については「未経験者が要件定義を行うのが難しい」が54.5%で最も多かった(図2)。それに「成果物の品質にばらつきがある」が44.9%、「抜け漏れが発覚し手戻りが発生する」と「ドキュメント作成・整備に時間がかかる」が42.8%で続く。課題の発生要因としては約6割が「担当者の経験・スキルへの依存」とした。

図2:要件定義における課題

 要件定義に起因する手戻りや再設計については「ほとんどのプロジェクトで発生」が40.6%、「半数以上のプロジェクトで発生」が44.6%に上る。合わせれば85.2%が半数以上のプロジェクトで手戻りや再設計が発生しているとしていることになる(図3)。

図3:要件定義に起因する手戻りや再設計の発生状況

 要件定義において難しいと感じる工程としては「現状把握(As-Is業務)」が50.8%で最も多く、「リサーチ」が43.1%、「課題提起」が37.8%で続く(図4)。ROUTE06は「上流工程の情報整理力や構造化スキルが、要件定義の質を左右していると考えられる」とする。

図4:要件定義において難しいと感じる工程

 要件定義へのAI技術の活用状況では「組織全体で要件定義に特化したAIツールを本運用」が25.8%で、4社に1社が要件定義に特化したAIツールを本運用していた(図5)。「組織全体でPoC(概念実証)段階」が10.5%、「組織全体でChatGPT等のAIチャットのみ利用」は6.8%だった。

図5:要件定義へのAI技術の活用状況

 今回の結果についてROUTE06 取締役 松本 均氏は「要件定義を個人のスキルではなく組織として再現可能なプロセスとして捉え直す必要がある。AI技術により要件定義者の思考を補完し、フレームワークや観点を提示しながら、要件定義の再現性を高めていけるかどうかが今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を左右するだろう」と見ている。