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【大阪・関西万博】ディープテック系スタートアップの世界進出を後押し

「Global Startup EXPO 2025」より

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2025年12月29日

世界の課題解決に技術力での貢献するディープテック系スタートアップの世界進出を後押しする国際カンファレンス「Global Startup EXPO 2025」が、大阪・関西万博内の展示会場「WASSE」で2025年9月17日と18日に開催された。国内外の150近いスタートアップに加え、海外のディープテック経営者や主要エコシステムプレーヤー、大手VC(Venture Capital)ファンド、政府関係者らが参加した。

 「Global Startup EXPO 2025(GSE2025)」は、世界とのビジネスチャンスを広げることを目的に、経済産業省と近畿経済産業局、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、JETRO(日本貿易振興機構)が主催した大阪・関西万博の目玉イベントの1つである。

 テーマは「Shaping the Future with Startups − Co-creation to Break Through Global Challenges −(スタートアップと共に未来を創る − 共創でグローバル課題を突破−)」で、21の国と地域からディープテック分野に挑む145社のスタートアップが参加し、2日間で延べ9560人が訪れた。

2025年は政府の「スタートアップ育成5カ年計画」の中間点

 日本政府は2022年末に「スタートアップ育成5カ年計画」を策定し、2027年度までに「ユニコーン企業(未上場企業価値10億ドル以上)を100社創出し、年間投資額を10兆円規模に拡大する」という目標を掲げている。

 同計画計画を立ち上げた岸田 文雄 前首相がオープニングやパネルディスカッションに登壇し「計画は3年目に入り成果も出始めている。ディープテックを支える研究開発や高度な技術は日本が得意とするところであり、そのポテンシャルは高く、長期的な成長が見込まれる」とした(写真1)。

写真1:オープニングとパネルセッションに登壇した岸田 文雄 前首相は政府のスタートアップ支援政策を紹介した

 一方で「実装に時間がかかり、巨額の資金が必要など事業化リスクが高いことから海外投資を呼び込む必要がある。今後は関西を通じて世界のエコシステムとも、つながりを強めていきたい」(岸田前首相)ともいう。閉会式には石破 茂首相(当時)が登壇し目標達成に向けた支援策の強化を強調した。

 GSE2025では、ディープテックを単なる高い技術力を持つ事業ではなく「世界の課題解決に貢献するイノベーションの源泉」に位置付け、ロボティクスやモビリティ、AI(人工知能)、バイオ、マテリアル、宇宙防衛など14の分野と技術が取り上げられた。

 ただ会場では、健康と長寿、豊かな生活、人口に頼らない社会、地球との共存、新技術のルールメイクという5つのテーマに沿って展示エリアが設けられた(写真2)。事業目標を明確にすることで、協業や支援を受けやすくするとともに、一般来場者の関心を高めるという狙いがあったようだ。

写真2:展示エリアでは5つのテーマに沿ってプロダクトやサービスが紹介された

日本発のディープテックがアンモニアや量子、宇宙などの分野で出展

 万博らしい、未来を感じさせるビジネスも多数見られた。東京工業大学発ベンチャーのつばめBHBが、その1社。アンモニア製造プラントのための小型分散型の製造技術を開発している(写真3)。アンモニアは、クリーン燃料や水素キャリアとしての需要増加が予想されている。

写真3:つばめBHBは未来のクリーンエネルギーを支えるアンモニアを製造する

 大阪大学発の医療機器ベンチャーであるJiMED(ジーメド)は、身体を動かさずPCなどを操作するためのBMI(ブレインマシンインタフェーイス)を開発している(写真4)。ヒトの体内にワイヤレス対応のBMIを埋め込み、高い解像度で計測した脳波をAI技術で解読し、操作信号に変える。

写真4: JiMED(ジーメド)は埋め込み型のBMI(ブレインマシンインタフェーイスを開発する

 宇宙技術では、将来宇宙輸送システムは再使用型ロケット「ASCA」(アスカ)」を、MJOLNIR SPACEWORKS(ミヨルニア・スペースワークス)はロケットを自動車のように大量生産する技術を、それぞれ開発している(写真5)。