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製造現場の文書を構造化して検索精度を高めるシステム、言語理解研究所が提供

DIGITAL X 編集部
2026年7月22日

製造現場で利用する設計書や手順書、点検記録などを構造化し、生成AI(人工知能)技術による自然言語検索や回答に利用できるようにするシステムを、徳島大学発ベンチャーの言語理解研究所(ILU)が2026年7月1日に提供開始した。資料の構造を保持したまま社内文書を横断的に検索しやすくし、技能継承や知識共有を支援する。2026年6月30日に発表した。

 徳島大学発ベンチャーである言語理解研究所(ILU)の「製造現場ナレッジAI」は、製造現場で利用する文書を生成AI(人工知能)技術が扱いやすい形に構造化し、自然言語による検索や回答に活用できるようにするシステム。社内に蓄積した文書を横断的に検索し、必要な情報を参照しやすくすることで、技能継承や知識共有に役立てられるとする。2026年7月1日に提供開始した。

図1:「製造現場ナレッジAI」の概要

 製造現場ナレッジAIでは、設計書や手順書、点検記録、マニュアルなどのPDFやExcel形式の文書を取り込む。単純にテキストにするのではなく、文書全体の構成や意味を反映したデータとして整理することで、生成AI技術が文脈を踏まえて検索・回答しやすい状態を作るという。

 検索・回答の精度を高めるための一連の処理には(1)文書構造の保持、(2)シノニムマップ技術、(3)アノテーション技術、(4)RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)、(5)事前検証、の5つのアプローチを用いる。

 文書構造の保持では、見出しや項目、表の構成、用語同士の関連性を維持したまま文書を構造化する。文書全体の構成や情報同士のつながりを反映したデータを生成し、生成AI技術がデータの内容を解釈しやすい状態に整えるとする。

 シノニムマップ技術では、現場や担当者ごとに異なる呼称や言い回しを同じ概念として関連付ける。現場独自の略称など表現が異なっていても、同一の対象として検索結果に反映するという。

 アノテーション技術では、マニュアルやトラブル対応履歴などにキーワード単位のタグ付けやカテゴリーによる分類を施す。利用目的に応じた情報を見つけやすくするという。

 RAGでは、利用者の質問に応じて社内文書から関連情報を検索し、AI技術が回答を生成する。回答時には参照した文書も提示し、利用者が根拠を確認できるようにするという。

 事前検証では、導入前に想定質問と想定回答を整備し、AI技術の回答結果を継続的に確認・評価する。運用開始前に検索結果や回答の妥当性を確認し、期待する品質に近づけるための調整に利用できるという。

 製造現場ナレッジAIの提供目標は、年間6社に設定している。

 ILUは約40年にわたり、徳島大学内での研究を含め、人が持つ知識やノウハウをコンピューターが理解・活用でしやすい形に整理・構造化するための自然言語処理技術を研究・開発している。

 ILUによると近年、製造業では、熟練技能者の高齢化や人材不足を背景に、技術やノウハウの継承が課題になっている。マニュアルや技術資料の電子化は進むものの、特に生成AI技術を使う検索では、文書構造が失われたデータや現場ごとに異なる用語表現が検索精度を左右している。