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製造業におけるAIエージェント利用のためのデータ基盤サービス、キャディが開始
製造業向けソフトウェアのキャディは、企業がAI(人工知能)エージェントを利用するためのデータ基盤サービスを開始した。社内に散在する多様なデータを取り込み、データ同士の意味や関係を整理し、AIエージェントによる横断的な検索や分析を可能にする。2026年8月6日に発表した。
「AI技術は急速に進化している一方で、モノづくりのスピードは、ここ30年ほとんど変わっていない。理論やアイデアが増えても、物理世界への実装が追い付かない『物的限界』が製造業のボトルネックになっている」--。製造業向けソフトウェアを手掛けるキャディ 代表取締役CEO(最高経営責任者)の加藤 勇志郎 氏は、製造業の現状をこう指摘する(写真1)。
例えば自動車産業では「企画から製品が出来上がるまでに約4年掛かることは、30年前も現在もほぼ変わらない。ソフトウェア開発の速度は100倍以上になったのといわれているのとは対照的だ」(加藤氏)という。この差を縮めるためにキャディは「AI技術でモノづくりを変革し、企画から出荷までの期間を10分の1に短縮する」というビジョンを打ち出している。
その一環として今回開始したのがデータ基盤のクラウドサービス「製造業AIデータプラットフォームCADDi」である。製造業が持つ知見やデータの積極的な利用を支援するサービスで「どのデータを、どの順番で参照すれば設計や調達の業務を完了できるか」といった知識を活用できるようにする。
製造業AIデータプラットフォームCADDiは(1)データ基盤、(2)セマンティックス、(3)横断プロダクト、(4)業務特化プロダクトの大きく4層の機能・製品からなる(図1)。(1)と(2)がAIエージェントにデータを渡す土台になる。
データ基盤は、ファイルサーバーやERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムなどからデータを取り込み、その内容を解析して整理する。Excel形式ファイルや会議の録音といった非構造データを扱える。図面やCAD(Computer Aided Design:コンピューターによる設計)データの形状解析機能を持つ。
セマンティックスは「どのデータが何を意味し、互いにどう関係するか」を定義する。そのために、データの格納場所や業務上の意味、参照順といった情報を「データの地図」として管理する。キャディ CTO(最高技術責任者)の小橋 昭文 氏は「ベテランは長年の経験で業務データや手順などの体系が頭の中に出来上がっているが、新人やAIエージェントにはそれがない。この理解を構造化・言語化して共有可能にする」と説明する。
横断プロダクトは、CADデータやBOM(Bill of Materials:部品表)、ERPやCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムなどのデータを横断的に参照し、散布図やグラフ、表などの形式で可視化する。従業員の役割に応じて参照範囲を制御する権限管理を持つ。
実際には「CADDi Explorer」と「CADDi Agent」の2製品からなる。CADDi Explorerは、人がデータを探索・分析するためのツールで「社内データに対する検索エンジンに相当する」(加藤氏)。CADDi Agentは、特定業務を実行するAIエージェント。事前に設定した業務内容に沿ってデータを探索・分析し、意思決定に必要な材料をそろえる。
業務特化プロダクトは、設計から保全までの業務を支援するツール群である。「なぜその判断をしたのか」「取引先と何をやり取りしたのか」といったコンテキスト(文脈)データも同時に収集し、データ基盤に追加する。
ツールとしては(1)流用設計用の「CADDi Composer」、(2)デザインレビュー用の「CADDi Design Review」、(3)見積もり用の「CADDi Quote」、(4)原価査定用の「CADDi Cost Review」、(5)生産準備用の「CADDi Process Review」、(6)設備ライフサイクル管理用の「CADDi ALM」の6つを用意する(図2)。いずれもサービス開始したが、CADDi Cost Reviewのみ2026年末までに提供する予定である。
製造業AIデータプラットフォームCADDiの利用料金は、基盤導入、ユーザー数、利用量の3要素の組み合わせで決まる。


